韓国、ため息さえ熱かった「最悪の猛暑」…来年も「長い夏」?
[来週の問い]
いよいよ待ちに待った秋がやってきたのだろうか。29日までの気象庁の予報を見ると、20日以降、北から冷たくて乾燥した空気が南下するため、「秋の猛暑」から抜け出せる見通しだ。摂氏25~26度ほどだったソウルの最低気温は、来週には20度以下にまで下がり、日中の最高気温との差は10度前後にもなる。みな暑さに耐えるのに苦労しましたね、気温差が大きいので健康にお気をつけください。このような会話がようやくあいさつのように交わせるようになった。 今年は最悪の猛暑として記録される1994年、2018年と肩を並べる年だった。まるで秋の一部が消えたような感じとでも言おうか。生まれて初めて経験する秋夕(チュソク)連休期間の猛暑警報の記憶として、あらゆる人の頭に残る可能性が高い。9月中旬に猛暑とは。しかも警報だとは。猛暑注意報より一段階高い特報である猛暑警報は、最高体感温度が2日以上にわたって35度以上となると予想される時に発せられる。 18日にソウル西南圏に発せられた猛暑警報は、ソウルではこれまでで最も遅い猛暑警報だった。誰にとってもこのような秋夕は初めてだった。暑さでソンピョン(松の葉の香りをつけたもち)が腐り、墓参りが取り消しになり、屋外プールがにぎわった。今回の連休期間である9月14~18日のこの30年間(1991~2020年)のソウル地域の最高気温は、26.2~26.6度に過ぎなかった。今年の秋夕の気温は平年より実に8から10度近く高かったことになる。 9月の猛暑と熱帯夜を招いたものは、ひとまずは高温多湿な南東の風をもたらした台風だ。しかし実際の問題は、9月にも勢力が旺盛な北太平洋高気圧だ。とっくに退いているべき高気圧が、なぜこの時期になるまで後退することを知らずに朝鮮半島を覆っていたのか。 このような「残暑」は数年前から予見されていた。2020年秋にはじまり、2022年末まで3年間にわたって続いた「トリプル・ディープ・ラニーニャ」からだ。ラニーニャとは、太平洋の赤道地域の東側の海水温度が普段より低くなる現象。もともとは9~12カ月あれば終息するが、同時期には異例にも3年も続いた。このようなことがあったのは観測史上、1950年に1度だけだ。 昨年5月にはじまったエルニーニョは、この影響で「スーパー・エルニーニョ」(エルニーニョはラニーニャの逆の状況)となり、昨年7月以降、地球の気温が産業化前に比べて1.5度以上高い状態が1年以上続いた。1940年以降の地球表面の気温の月ごとの推移をグラフで表すと、この1年間の線は1940年以降のすべての線のはるか上にある。今はエルニーニョ現象が終わり、再びラニーニャが発生している。 通常は2~7年に1度発生し、1年以内に終わるエルニーニョとラニーニャは、干ばつ、高温、洪水などの異常気象を引き起こす。問題は、このような状況が気候変動によって頻繁化、長期化しているということだ。この分野の権威である米国ワシントン州立大学のジテンドラ・シン教授は、2022年2月に「ネイチャー気候変化」に掲載された論文で、「地球温暖化で海水の温度が上昇し、海流の変化が大きくなる効果が強まるため、ラニーニャ現象は次第に増加していくだろう」と予想している。それによって干ばつも20世紀に比べて10倍も増える、というのが同氏の予測だ。 啓明大学のキム・ヘドン教授(地球環境学科)はハンギョレの電話取材に対し、「西太平洋の温度が上がるラニーニャが発生すれば、北太平洋高気圧が非常に発達することになる。今回発生したラニーニャが来年の夏まで続くと、来年の夏は今年より深刻になる可能性がある」と語った。 パク・キヨン記者|地球環境チーム (お問い合わせ japan@hani.co.kr )