今田美桜「〈お言葉を返すようですが〉って使ったことないです」山本耕史「僕は〈お言葉を返す〉ほうなんです」
◆ドラマタイトルの由来は 上川 池井戸先生は前回のドラマの原作となった『不祥事』という原作をお書きになるに当たって、先生の中にもなかなか思っていることを言えないとか、現状を突破できない、変えられないという思いはあったんですか? 池井戸 そうですね。会社って、理不尽なことがいっぱいありますよね? そういったことを、権力も地位もない、何もない女性行員がどんどん解決する小説って面白いんじゃないかなという着想で書いたものでした。それが1冊目の『不祥事』です。実は、ドラマのタイトルになった「花咲舞が黙ってない」というフレーズは、講談社文庫版『不祥事』のオビのキャッチコピーからきているんです。 一同 へーー!! 池井戸 それがドラマのタイトルになって、それを今度は続編のタイトルにしたんです。小説とドラマが、お互いに影響を与え合いながらできあがっている作品なんですよ。 上川 幸せなやり取りの中で生まれていった作品だと思います。
◆いまも続く忖度社会 池井戸 ちなみに、「お言葉を返すようですが」は、前のドラマオリジナルのセリフなんです。シーズン1が放送されたのは2014年ですが、当時はなかなかそんなことは言えなかったと思います。それが10年経った今もまだ売りになっている。いい加減、世の中も変わらなきゃいけないですよね。 今田 なかなか難しいですよね。 池井戸 忖度社会、未だに続いているじゃないですか。そろそろ、今回のドラマをきっかけにして変わってほしいなと思います。 山本 僕はですね……実を言うと普段わりと「お言葉を返す」ほうなんです。 一同 (笑)
◆舞ちゃんの存在によって気づかされる 山本 今、話を聞いていて気づくことがあって。舞台や撮影の現場などで、僕がお言葉を返したことによって、他の人が違う意見を言い出したり、それでその場がクリエイティブになったりする時もある。誰かが悪者になって矢面に立たないと何も変わらない時ってあるんです。それによって敵もできるけど、団結力も生まれて、みんながどういうふうな角度で目の前の出来事と対峙しているのかが明確になっていく。もちろん言ったことで後悔することもあるんだけど、黙ってられない自分のほうを僕は大切にしているんです。だって、僕たちって黙って生きているでしょう。なるべく怒らないように、なるべく人に対して余計な一歩を踏み込まないように生きているけど、どうしても踏み込まないといけない瞬間ってあるんです。結果、「この人とはもう一緒に仕事することはないんだろうな」となることも……。 上川 そんなに思い切ってるんですか!?(笑) 山本 舞ちゃんが言うことによって拍手が起こったりとか、周りの人たちが「そうだった、そこにやっぱり気づかなきゃな」ってなるじゃないですか。それで良かったのかなって、舞ちゃんの存在によって気づかされるところがありました。 飯尾 素晴らしいです。僕は疑問がある時などはスタッフさんに質問して、その答えによっては「あっ、もう好き勝手やろう」と思っちゃいますね。損するのは自分だから、自分の思うようにやっちゃいます。 上川 なんだか、お酒が飲みたくなってきました。(笑) 第5話では池井戸作品のあの“半沢直樹”が登場するという噂も? 気になる方は、ひと足先に原作をチェックしてみるのも手かもしれません。
池井戸潤,今田美桜,山本耕史,上川隆也,飯尾和樹
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