固定金利より安いから変動金利で住宅ローンを借りたのに、日銀がマイナス金利政策をやめる? うちの住宅ローン、どうなるの?
金利上昇時のシミュレーション比較
では、今後金利が上がると仮定した場合に、どのくらい金利負担が増えるのか、シミュレーションしてみましょう。 ※将来の金利動向や金利の変動時期などは予測不可能なため、あくまでも仮定の事例として参考にしてください。 変動金利で借りてその後金利が上昇する場合の2事例と、全期間固定金利で借りた場合を比較してみましょう。条件は以下のとおりです。 ・借入額:4000万円 ・期間:35年 ・ボーナス返済:なし ・返済方法:元利均等返済
<変動金利の2パターンの比較> 途中で2回ほど金利が1%ずつ上がりますが、その時期が異なっています。事例1は5年と10年が経過後、事例2は10年と20年が経過後の設定です。その結果、金利上昇するのが5年・10年経過後(事例1)のほうが、10年・20年経過後(事例2)より総支払利息は400万円以上多くなっています。 これは金利上昇後の返済期間が事例1のほうが長くなることが大きな要因ですが、毎月同額を返済する場合には、次の点にも注意が必要です。 それは、返済年数が短い時期ほど、返済額のうちの利息が占める割合が多く、元本(上記例では4000万円)に相当する部分があまり減らない点です。つまり、返済年数が短いほど残債が多く、元本に対する金利が上昇するとその利息額が大きくなることです。 逆に返済が進み元本(残債)が少なくなると、金利上昇の影響も相対的に小さくなります。 <全期間固定金利(事例3)との比較> 固定金利は借入当初から1.8%と高いですが、その後、変動金利が事例1と2のように借入時より2%上昇して2.45%になると固定金利を逆転して0.65%高くなるとします。 その場合、事例1のように借入から11年後に金利が2.45%になると、月額返済額は13万2138円(年間返済額158万5656円)となり、固定金利(事例3)の月額返済額12万8436円(年間返済額154万1232円)よりも高くなります。 しかし、返済期間10年目までの低金利が効いて、総返済額は事例1の変動金利のほうが事例3の全期間固定に比べて約138万円安くなっています。 事例2は、借入から21年後に高金利になっても、返済が進み元本が減っているため、月額および年間ともに返済額は全期間固定金利を下回っています。 元本が少ないと金利が上昇しても、その影響が少なくて済むことがわかります。そのため、借入当初の元本が多い時期にどれだけ低金利で長く返済できるかがポイントになります。