「裁判長の『主文 被告人は無罪』というのが神々しく聞こえた」世紀を超えた冤罪事件 袴田巖さんの裁判が問いかける”再審法”【2024しずおか総決算】
再審法を見直すきっかけに
一方、袴田さんの冤罪事件をめぐって問われているのが裁判のやり直し、いわゆる再審の在り方だ。 都内で開かれた再審法改正イベントに出席したひで子さんは「47年間、巖が拘置所の中で頑張った。その頑張りを再審法に、ぜひ皆さんの力で改正なり訂正なりして欲しいと思う」と話した。 再審法改正に向け、日本弁護士連合会などが特に問題視しているのが証拠開示に関する規定だ。 通常の裁判員裁判では審理を迅速に進めるため、検察側に自分たちの持っている証拠リストを弁護人に示すことが義務付けられている一方、再審についてはこうした開示義務がない。 日本弁護士連合会・鴨志田祐美 弁護士は「捜査機関が集めた証拠の中に再審を求める人の無実を示す証拠が隠されている可能性があるのに『それを出せ』というルールがない。そのためとても時間がかかってしまっている」と憤る。 こうした中、2024年3月には超党派の国会議員による再審法改正議連が発足した。
元議員も法改正の必要性説く
この議連に現職中、名を連ねると共に袴田さんの救援を後押しする議連で長年、会長を務めたのが元衆議院議員の塩谷立 氏だ。 塩谷氏は「今まで全く手をつけないで昔の法律のままで来たこと自体が問題だった。これをしっかり見直していくことが必要」として、速やかにしっかりと対応ができるような制度作りを求めている。 その上で「裁判の問題は難しい点もあるが、十分に議論しつつ今までのように時間をかけてやっていくのではなく、もっとスピーディーにやる。制度的にも証拠の開示もどんどんやっていかないと時間がかかる。人の生命にも関わることで改善すべき点は多々あると思う」と結んだ。 袴田さんの無罪が確定した2024年10月には、38年前に福井県福井市で女子中学生が殺害された事件をめぐり前川彰司さんの再審開始が決まるなど、いま確実に風向きは変わりつつあり、こうした流れを受け法務省は再審制度について見直しの検討を始める方針を固めた。 再審法改正の議論がどのような方向に進むのか注目される。 (テレビ静岡)
テレビ静岡
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