軽井沢バス事故で実況見分 バス走らせ異なる条件下のデータ収集
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長野県軽井沢町で1月15日未明に起きたスキーツアーバス転落事故で長野県警は17日、国道18号碓氷バイパスの現場付近でほぼ同型のバスを使った実況見分を行いました。同日午後と夜に分けて複数回行い、異なる条件下の運転状況やバスの動き、路面と走行状態の関係などを知るための基礎データを集めたと見られます。運転者が死亡し、さまざまな条件が絡む事故の解明は複雑な作業になるため県警は慎重で、会見では説明を求める取材陣と押し問答になる場面もありました。 【写真】長野県で相次ぐバス転落事故 迫られる冬の山岳地の運行対策
なぜギアがニュートラルに?
実況見分は何回か走行試験を予定。午後3時前から本番前の予備走行を1回行いました。パトカーの先導でバイパスを下ってきたバスはセンターラインに寄るような動きのスピードで「ゴーッ」という音を立てながら事故現場を通過。40人近い取材陣のカメラが一斉にバスを追いました。 これまでの長野県警の調べで、事故当時のバスは時速50キロの制限速度を2倍近く上回る100キロ近い速度で走っていたことが分かっています。なぜ異常なスピードを出していたのか、運転者の状況、バスの整備状況など多角的な検討が行われます。 ギアがニュートラルに入っていたため排気ブレーキなどの補助的なブレーキが効かなかった可能性も指摘されていますが、事故のショックでニュートラルに入った可能性もあります。また、運転者の運転経験などについてもさまざまな指摘があるほか、バス運行会社の運行管理や労務管理などに多くの問題があったとして監査や処分が行われました。決定的な一つの原因による事故なのか、複数の要因が重なり合って起きた事故なのか現段階では明らかではなく、一つ一つ積み重ねる捜査の一環として実況見分が行われたようです。 このため長野県警の姿勢も慎重。予備走行の後行われた会見で県警交通部の波多腰功(はたこし・いさお)交通指導課長は「事故の全容解明に向けしっかり捜査したい。よいデータが収集できることを期待したい」と述べたものの、今回の実況見分で具体的にどのようなことを調べているのかについては「捜査にかかわることなので答えられません」「申し訳ないが捜査事項なので答えられません」の繰り返し。 これに対し「交通止めまでして実況見分しているのに県警が何をしているのか分からない、では通らない」「ブレーキの状況とかバスの走行状態などを調べているだろうとは誰でも考える。それが明らかにできないのはおかしい」と取材陣が説明を要求。一時は押し問答になり、県警側に対応を求める場面もありました。