【相撲編集部が選ぶ秋場所4日目の一番】正代と霧島の元大関2人が4連勝! 優勝争いの台風の目に⁉
今場所は4日間すべて、立ち合いの直後に先手を取って攻め込んでいる
正代(掬い投げ)若元春 「あー、あったかなそんなこと。忘れちゃったな」 記者から「初日からの4連勝は4年前(令和2年)の初場所以来」と聞かされたときの正代のセリフだ。 元大関の正代が元気だ。ちなみに上記の令和2年の初場所は、まだ正代が大関に上がる前の話。それぐらい久しぶりの好調、というわけだ。 この日は実力者の若元春との対戦。立ち合い当たり勝ち、右差しを狙いながらグイグイと前に出る。おっつけられて右差しは果たせず、若元春得意の左四つに。右上手を許して逆襲されるが、「最後に何とかしてやろうという感じで、捨て身だった。押し込んでいたので、自分の後ろに余裕があった」という正代は、回り込みながら左からの掬い投げで若元春を投げ捨てた。 単に白星が続いているというだけでなく、今場所ここまでの正代はとにかく内容がいい。いつもは立ち合いから受け太刀の相撲が多いタイプだが、今場所は4日間すべて、立ち合いの直後に先手を取って攻め込んでいる。 4連勝にも「慣れないことはするもんじゃないですよ。疲れる。勝ち続けている中での負けは疲れますからね」と、得意のネガティブ節で煙に巻くが、今場所の内容のよさは、台風の目になる可能性十分だ。おそらくあす以降は、三役との対戦が連日のように続くことになると思うが、どれだけ食っていくことができるか。なんといっても元大関。上位陣にとっては要警戒の相手になってきそうだ。 元大関といえばもう一人、霧島も元気に4連勝だ。この日は御嶽海に中に入ることを許さず、左四つ右上手の体勢をしっかり作ったあと、一気に寄った。 【相撲編集部が選ぶ秋場所4日目の一番】貴景勝が3連勝でカド番脱出へ前進。気づけば大関陣の先頭走者に 「焦らずに、自分の体勢になるまで待った。きょうは流れがよかった。一番一番、しっかり取っていれば流れが来る」と、取組後も納得顔だ。 霧島の今場所は、結果的に攻められてしのぐ形での勝ち星もあるが、明らかに先場所より状態はいい。首の状態も改善しているのだろう、「かわして勝とう」という感じが見られた先場所とは違って「攻めて勝とう」という意識が見え、それがしのいで勝つ相撲にもつながっている。 こちらは、体の状態さえよくなれば、もともと角界トップクラスの実力者。現在番付上に数多くいる「元大関」の中でも、返り咲きの可能性を最も多く持つ男であるのは間違いないところだ。当初、優勝を争う「三強」の一角と見られた豊昇龍がこの日で3敗となり脱落、琴櫻と大の里のマッチレースの気配が濃くなっている今場所の優勝争いだが、どうやら豊昇龍に代わってこの霧島が、そこに割って入る「第3の男」の役割を担うことになりそう。あすはこのところ進境著しい平戸海との激突。これは面白い勝負になりそうだ。 文=藤本泰祐
相撲編集部