弟の買ったばかりの車が「水没」で台無しになったようです。車両保険に入っていたら新しい車に買い替えられたのでしょうか?
水没事故に対して、車両保険にはどのような補償があるのでしょうか。本記事では、保険の種類や内容、水害時の保険の適用範囲、価格、新車買い替えの可否を解説し、水没に備えた保険の選び方をご紹介します。 ▼トヨタ「アル・ヴェル」は月々でいくらの支払いが必要? 返済額を試算してみた!
車の水没時、保険の補てんはあるの?
近年多発しているゲリラ豪雨や台風による洪水、高潮、竜巻など自然災害が原因となる水害で車が水没した場合、「車両保険」に加入していれば補てんがあります。車両保険とは、自分の車の修理費などを補償する保険です。 損害保険料率算出機構がまとめた「自動車保険の概況 2023年度(2022年度統計)」によると、自家用普通乗用車の場合、車両保険の加入率は63.0%、自家用小型乗用車は52.5%でした。車両保険に加入していなければ、補てんはありません。 実際に車両保険で「台風・竜巻・洪水・高潮」で補てん支払いがされた2022年度の件数は、全体の構成比としては0.8%である1万7234件でした。支払保険金は159億1490万6000円となり、1件あたり「約92万3460円」となっています。 一方、車両保険で件数構成比が全体の75.4%を占める「他車・物・人との衝突、接触、転覆、墜落」の支払件数は162万2399件、支払保険金は5995億1815万円で、1件あたり「約36万9526円」と水害と比べて金額差があります。
水害時の保険適用範囲と価格
車両保険で適用される水害とは、自然災害による水害が原因で車が壊れた場合のみ保険が適用されます。雨程度であれば問題ありませんが、洪水などで冠水してしまうと、電気系統が多く使われている車は大きな影響を受けてしまいます。 車が水のなかに長時間浸かった場合は、電気系統がショートしてしまいます。エンジンまでの浸水で修理不能となるケース、または修理代が保険金額を超えた場合に、車は「全損」扱いとなります。 水没した場合は特に修理箇所が多くなるため、保険金よりも修理費用のほうが高額になるケースが多いのが特徴です。 車両保険で支払われる保険金は、車の損害額から免責金額(自己負担額)を引いた額であり、修理代がすべて支払われるわけではありません。例えば、車両保険金が100万円、免責金額が10万円、修理代金が80万円だった場合は100万円ではなく、修理代金の80万円から免責金額の10万円を引いた70万円が支払われます。 さらに、基本的に車両保険は「保険対象車のその時の価格(時価)」を上限として、修理費の支払いや保険金が支払われます。長期間乗り続けている車の場合、支払われる保険料が少なくなり、修理費が全額補えない可能性もあります。 また、水没で自動車保険を使うと「1等級ダウン事故」として扱われ、次回更新時の等級が1等級下がるとともに保険料が割高になります。