きょう11月15日は「いい遺言の日」だから考えたい、家族に残す「最後の手紙」 年末は家族に伝えるいい機会
11月15日は語呂合わせで「いい遺言の日」。終活という言葉が広まって久しく、4月には相続登記も義務化された。遺言書を法務局に預ける自筆証書遺言書保管制度について、鹿児島地方法務局の野見山弘幸局長に聞いた。 【写真】自筆証書遺言書保管制度の流れを図解で分かりやすく
自筆証書遺言書保管制度は、自分で書いた遺言書を法務局に預けられる制度だ。遺言書を自宅で保管していると、紛失したり相続人が改ざんしたりする恐れがある。制度を利用すれば、安心して備えられる。 利用するメリットは他にもある。遺言者死亡後、原本は50年間、データ化した画像は150年間保管される。書く内容の助言はできないものの、法務局職員が方式に不備がないか確認するため、無効になることはない。家庭裁判所への提出は不要で、申請手数料は3900円だ。死亡時に遺言書の存在を相続人などに知らせることもできる。 制度は2020年7月に始まった。背景には所有者不明の土地が増えたことがある。東日本大震災などをきっかけに相続登記をする人が減った。国交省によると所有者の分からない土地は国土の約20%に上り、九州の面積を超えた。遺言があれば土地や建物の行方は確実なものになる。 利用数は10月末時点で、全国8万4803件。県内957件。誰でも利用できる制度だが、相続トラブルを防ぐとともに、残された人への最後の手紙としての活用もお勧めする。
きょうだいの仲が良くてもトラブルに発展するケースはしばしばある。不動産は均等な分割が難しいため、遺言があるとスムーズに進みやすい。遺言書には感謝の言葉などを自由に残せる。生前に言葉では伝えられない思いもあるだろう。遺言書に託すという選択肢を考えてみてはどうだろうか。 遺言書は元気なうちに作成した方がいい。自筆証書遺言書保管制度は本人が法務局に出向く必要がある。親族が集まりやすい年末年始は準備するにはいい時期だ。内容を伝えるのは難しくても、遺言があると親族に知らせておくことはできる。遺言の日を機会に考えてみてほしい。 【メモ】自筆証書遺言書保管制度は、県内6カ所の法務局施設で利用できる。予約必須で必要書類の準備も求められる。詳しくは法務省ホームページまたは鹿児島地方法務局供託課=099(219)2106。
南日本新聞 | 鹿児島