発達障害は「個性の一つ」なのか? 息子の障害に毎日泣いていた母が今、考えること
息子から知的障害と自閉症を取ったら…
私の息子は自閉症なのですが、知人から「人は誰しも得手不得手があるのだから、障害じゃなくて個性の一つと考えればいいんじゃないの」と何度か言われたことがあります。 でも、当事者の親は案外「障害か個性か」の論争にはあまり関心がないことが多いように思います。困っていることが山積みですから、個性でも障害でも、そんなことはどうでもよいのです。 あえて言うならば、「障害そのもの=個性」ではなく、むしろ障害によって、自閉症や知的障害によって、息子の個性が見えづらくなっているような気がします。 こんな絵を描いてみました。私は、「個性」の上に大きく「障害」がかぶさっているように感じています。 「障害がなかったら、あなたはどんな性格、個性をしていたの?」「お母さんと普段どんな会話をしていたの?」「定型発達の23歳だったら、彼女くらいはできていたかな?」「週末は友達と出かけていたのかな?」…こんなふうに息子のことを思い始めると切なくなります。 けれども、息子から知的障害と自閉症を取ったら、息子ではなくなってしまうので、「それはそれで嫌だ」と思うわがままな母親です。 息子に障害があることが分かったときは、それを受け入れることができず、毎日泣いていました。そう考えると、随分と成長した私です。
子育て本著者・講演家 立石美津子