農林中央金庫、米ドル建て債をきょうにも起債へ-損失計上公表後初
(ブルームバーグ): 農林中央金庫がドル建て債の発行に向け投資家の需要調査を開始した。8日にも起債する。外国債券投資に関連して多額の損失が発生する見通しを公表して以来、初の債券発行となる。
起債するのは年限5年のグリーンボンド(環境債)で、事情に詳しい関係者によると、米国債に対するスプレッド(上乗せ金利)は約155ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を検討している。過去1年半の間に米国の高格付け債のスプレッドが大幅に縮小してきたにもかかわらず、2023年3月の前回債のガイダンス(約130bp)や発行水準(110bp)を上回っている。
農林中金は4-6月期に4127億円の純損失を計上。金利上昇で運用収益が悪化した外国債券の売却に伴い、今期は約1兆5000億円の損失となる見通しだ。過去に発行したドル建て債のスプレッドは損失が判明した5月から大幅に拡大してきたが、その後の資本増強や米国景気の底堅さを受けたドル債スプレッドの縮小が今回の起債に追い風となりそうだ。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のクレジットアナリストであるプリ・デ・シルバ氏とエイドリアン・シム氏は7日付のメモで、農林中金はポートフォリオの再編と関連損失の影響により新発債プレミアムを支払う必要があるだろうと指摘。農林中金の5年債の適正スプレッドは115bp前後だとしている。
--取材協力:Ameya Karve.
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Finbarr Flynn, Takahiko Hyuga