クロップ体制最強は? リバプール歴代スタメン&フォーメーション。激動と栄光の9年間を振り返る
●18歳の逸材登場と最強3トップ(2016/17) 前年を8位で終えたことで、クロップの2年目は国内での戦いに専念することになった。オフにはサディオ・マネ、ジョエル・マティプといった、今でも主力として活躍する選手たちを獲得している。 今では驚異的な右足からのキックでアシストを量産しているトレント・アレクサンダー=アーノルドがトップチームに昇格したのもこのシーズン。右サイドバックのファーストチョイスはナサニエル・クラインだったが、18歳のアーノルドもリーグ戦7試合に出場している。 ミルナーは左サイドバックのファーストチョイスとなり、フィルミーノもセンターフォワードでの起用が多くなった。クロップが目指す形がおぼろげながらも見えてきたのがこのシーズンだった。アンカーは開幕からヘンダーソンが不動の存在だったが、負傷で離脱した終盤戦はジャンが務めている。 フィルミーノ、マネ、フィリッペ・コウチーニョの3トップは揃って2ケタ得点をマークしている。8得点7アシストの数字を残したアダム・ララーナは、クロップが標榜するヘビーメタルなフットボールを体現する一人だった。 リーグ戦では首位を争う時期もあったが、最終的には4位でCL出場権を獲得した。得点数は前年の63から78へ大幅に伸ばしたが、優勝を争うのに42失点は多すぎた。マインツから獲得したGKロリス・カリウスはミニョレからポジションを奪えず、最終ラインも安定感を欠いた。 ▽GK シモン・ミニョレ ▽DF ナサニエル・クライン ジョエル・マティプ デヤン・ロブレン ジェームズ・ミルナー ▽MF アダム・ララーナ ジョーダン・ヘンダーソン ジョルジニオ・ワイナルドゥム ▽FW サディオ・マネ ロベルト・フィルミーノ フィリッペ・コウチーニョ
●新エース大爆発! タイトルまであと一歩(2017/18) 監督就任3年目の17/18シーズンはクロップのサッカーが結実する年となった。 ローマでの2年間で29得点19アシストを叩き出したモハメド・サラーを獲得。中盤にはアーセナルからアレックス・オックスレイド=チェンバレン、左サイドバックには降格したハルシティからアンドリュー・ロバートソンを獲得している。 サラーは開幕からゴールを量産した。32ゴールで得点王に輝き、CLでも10得点を挙げるなど、公式戦52試合で44得点16アシストをマークする大車輪の活躍だった。ロバートソンも冬以降、ミルナーが務めていた左サイドバックに定着して、リーグ戦22試合に先発した。 冬にはコウチーニョが1億4500万ユーロとも言われる移籍金でバルセロナへ移籍したが、交渉における紆余曲折の末にサウサンプトンからフィルジル・ファンダイクを獲得。オランダ代表DFに費やした移籍金は7500万ポンドとも言われ、当時のプレミアリーグ最高額と報じられた。 攻撃面で多大な貢献をしてきたコウチーニョだったが、前線はサラー、フィルミーノ、マネが最強3トップを結成。中盤もヘンダーソン、ワイナルドゥム、ジャンに加えて新加入のオックスレイド=チェンバレンと、ユーティリティーな存在となったミルナーが控えていた。コウチーニョの移籍は大きな穴とはならず、代わりにやってきたファンダイクがリバプールの課題でもあった守備陣をけん引する役割を果たした。 背中のケガの影響で開幕から欠場が続いていたクラインに代わって、右サイドバックはジョー・ゴメスとアレクサンダー=アーノルドが出場機会を争った。高い身体能力を備えるゴメスは公式戦31試合、精度の高い右足を持つアレクサンダー=アーノルドは31試合に出場。若い2人のイングランド人DFが台頭したシーズンとなった。 プレミアリーグはジョゼップ・グアルディオラ率いるシティに独走優勝を許し、リバプールはCL出場権を確保する4位に留まった。しかし、CLではそのシティを準々決勝で破ると、ローマとの準決勝でも2戦合計スコアで上回り、ミランに敗れた06/07シーズン以来となる決勝へと駒を進めた。 決勝では連覇中のレアル・マドリーの試合巧者ぶりに圧倒され、1-3で敗れた。得点源のサラーが前半のうちに負傷でピッチを後にし、カリウスの2度に渡るミスも響いた。悲願のタイトル獲得は、翌シーズンに持ち込まれることとなった。 ▽GK ロリス・カリウス ▽DF ジョー・ゴメス ジョエル・マティプ フィルジル・ファンダイク アンドリュー・ロバートソン ▽MF エムレ・ジャン ジョーダン・ヘンダーソン ジョルジニオ・ワイナルドゥム ▽FW モハメド・サラー ロベルト・フィルミーノ サディオ・マネ