2024年ドラフト指名を待つ男たち 最多勝 変則スリークォーター 中込陽翔【崖っぷちリーガー】
消滅寸前の弱小球団が11年連続ドラフト指名選手を輩出するチームへと遂げた徳島インディゴソックスを追った『崖っぷちリーガー 徳島インディゴソックス、はぐれ者たちの再起』(高田博史 著、菊地高弘 編集)が10月21日に発売される。ドラフト会議が迫るこのタイミングで、「終章 渇望 2024年ドラフト指名を待つ男たち」から一部抜粋で公開する。徳島インディゴソックスから12年連続ドラフト指名選手を輩出することになるか! (文:高田博史)
●大学4年の11月に引退を撤回した変則スリークォーター 最多勝利のタイトルは、8勝で4人が並んだ。そのうち、3人が徳島からである。 普段のおとなしい性格とは裏腹に、マウンドに登ると雄たけびを上げながら、最速150キロのストレートを投げ込む。 山梨学院大の4年生だった昨年、プロ野球選手になれないのなら、もう野球は大学で辞めるつもりだった。 就職を考え、自宅がある山梨県甲府市のスポーツジムで働こうと考えていた。 ドラフト終了後の11月、これが最後のつもりで臨んだ第19回関東地区大学野球選手権大会兼、第54回明治神宮野球大会出場決定戦(2023年11月6日~9日、横浜スタジアム)で好投する。 1回戦、対横浜商科大戦に先発し、5回3失点と先発の責任を果たした。 準々決勝、対創価大戦では延長10回140球を投げ切り、見事な完投勝利を挙げた。 準決勝、日体大戦に敗れたが、6回途中からリリーフし4イニングを無失点に封じ込めている。 「なんか、これで野球辞めちゃったらもったいないなって」 まだ辞めたくない。そのとき、ドラフトで何人もNPBに送り込んだ、独立リーグ球団のことを思い出していた。 「育成ドラフトの最後まで見てたんですけど、徳島インディゴソックスからすごくたくさん選ばれてたので。それでどんなチームなのかな? と思ってちょっと調べてみたら、めっちゃトレーニングするし、なんかみんな球速いし、すごいなと思って」 このチームに入りたい。そう思ってコーチに相談してみると、山梨学院高校のOBである牧野塁(オリックス投手コーチ)が以前、監督を務めていたことが分かる。 コーチを通じて牧野に連絡を取ってもらい、徳島の入団テストを受けることになった。 「ホント年末ギリギリで。いきなり徳島に行くことになったので。でも、もうここ以外受けずに、ここがダメだったら、本当に辞めるつもりでした」
ベースボールチャンネル編集部