「部下のSNS投稿が最近危なっかしい」そのとき試される上司のマネジメント力とは
「北風と太陽」の「北風」施策だけでは不足
このような「事後」の罰則をきちんと制定することで、ある程度はSNSで会社に損害を与える行為を予防することにはなるでしょう。 しかし、です。SNSでインフルエンサーになるほどの影響力を持ち、承認欲求を満たされたことによって、少し調子に乗ってしまった人が、過激なことをしてしまい、つい問題を起こしてしまうことはありうると思います。 これは罰則を作ったからといって防げるわけではありません。「北風と太陽」の寓話のように、ルールという「北風」でインフルエンサー社員を動かそうとしても、徒労に終わるかもしれません。 事が起こってしまった後で、どれだけ社員を罰しても、損害は元には戻りません。ですから「太陽」の施策がないのかどうか考えてみましょう。
「お天道様は見ている」作戦
ひとつの方法は、「みんなで見守る」ということです。そもそも日本人は同調圧力が強く、周囲の人がどう思うかは気になるものです。 インフルエンサー社員のアカウントを、できるだけ多くの幹部や社員がフォローして、たまに「投稿見てますよ」「あれは面白かったね」等々、声をかけてあげてはどうでしょうか。 自分の声が、自社の同僚や幹部にも届いていることがわかったら、その目をある程度は気にして、問題行動や発言をしないようにセーブするかもしれません。 まさに「お天道様は見ている」状態にするのです。かなりキモい手法だとは思いますが(自分もされたら嫌です)、危なっかしい状態にあるのであれば、インフルエンサー社員個人のためにも、見守ってあげることは必要なのではないでしょうか。
「SNS改革の先頭に立ってもらう」作戦
もうひとつの方法は、そのインフルエンサー社員をSNS対策担当に巻き込んでしまうことです。 インフルエンサーになるレベルなのですから、SNSについては社員の誰よりも詳しいはずです。そう考えれば、自社のSNS対策担当として最も適任なのではないでしょうか。 元ハッカーを雇ってハッキングの対策をするようなものです。最も変わって欲しい人に、改革の先頭に立ってもらうというのは、実は組織改革においては常套手段でもあります。 いちばんのうるさ方を巻き込まずに変革をするのは危険です。敵対者になりそうな人、いろいろうるさいことを言ってきそうな人をまず巻き込んでしまい、むしろ旗振りをやってもらえば、自分のやっていることに対して自分で背く人はなかなかいません。