巨大地震で混乱のネパール 復興支援はどうあるべきか
教育、観光など長期的支援を
一方、地域防災の研究者の立場でネパールに通っていた、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、ひょうごボランタリープラザ所長の室崎益輝・神戸大学名誉教授は「これだけの大災害で大量の物資や救援部隊が入り、全体のコーディネーションに困っているのは間違いない」とした上で、「ネパール人は非常に我慢強くて大らか。日本人が考える以上に社会秩序も保たれている」点を強調します。 「今回は日本のNPOなどもどんどん現地に入っていて、それ自体はいいことですが、受け入れる側の状況もよく考えてほしい」とする室崎名誉教授。現在は首都カトマンズに人も物資も集中しているように見えますが、空港はカトマンズだけでなく地方空港も少なからずあり、インドからの陸路も含めてさまざまなルートを検討し、まずは水や食料、医療機械などを運び込むこと。その上で、日本からいかに被災者の立場に寄り添った長期的支援を続けられるかが復興のカギだとします。 「再び地震が来ても建物が壊れないように、耐震補強などについて技術移転や教育を進めていかなければなりません。世界遺産などの文化財も耐震補強をしながら修復を進めていくべきでしょう。すべてコンクリートで固めていくようなことでなく、文化や自然を大切にしながら復興していけば、観光の再生にもつながります。そうしたことが問われているのは東日本大震災も同じ。途上国だからということでなく、互いに学び合うことで日本にとっても実りのある支援ができるでしょう」 こう話す室崎名誉教授は、自身が役員を務める神戸市のNPO法人「CODE海外災害援助市民センター」のスタッフが間もなく現地入りすることから、彼らを通じて情報を収集し、支援のあり方を考えていくつもりだそうです。 今のところ犠牲者は6000人を超え、被災地の衛生状態の悪化なども懸念されています。被災者はもちろん、日本から現地入りする支援者らの安全確保も願いながら、よりきめ細かく、長い目で現地に関心を持ち続けていきたいものです。 (関口威人/Newzdrive)