巨大地震で混乱のネパール 復興支援はどうあるべきか
ネパールの大地震は、25日の発生から1週間が経とうとしていますが、現地からはまだ混乱の大きさが伝わってきます。過去にマグニチュード8クラスの地震が繰り返されていたネパールは、近年も地震リスクの大きさが指摘され、日本から調査団なども派遣されていました。しかし、対策が整わないうちに見舞われた今回の震災。今後、どのような復興支援があり得るのか、関係者に聞きました。
JICAは1年前にリスクを指摘
国際協力機構(JICA)は2002年、ネパール一帯のカトマンズ盆地を対象とした地震防災に関する調査を実施。これまで同地域を襲った最大級のビハール地震(1934年、M8.4)を基に、起こりうる地震被害予測を死者1万8000人、大破する建物5万3000棟などと試算していました。 昨年4月には、ネパール政府の要請を受けて12年ぶりの事業となる「ネパール国カトマンズ盆地における地震災害リスクアセスメントプロジェクト詳細計画調査」に着手。民間コンサルタントと共同で3週間ほど現地調査をした上で、前回2002年以降の人口や建物の増加を考慮すると、地震によるリスクはさらに増大していながら、「建築物の耐震化や土地利用規制、建築基準法の順守はほとんど進んでいない」と指摘。ネパール政府の防災体制や法制度、地域計画なども確認した上で、「リスク評価の活用方針や関係省庁の役割分担の不明確さなどが判明した」などと結論付けていました。 調査団の一員として現地調査したJICA地球環境部の土井ゆり子さんは「ネパール政府も大きなリスクを抱えているという認識を持ちながら、どこからどう手を付けていけばいいかわからないという状況でした」と振り返ります。それでも、今年に入ってネパール側とプロジェクトの本格化に向けて合意、6月から再び現地調査に入ろうとしていた矢先に、今回の地震が現実に起こってしまったのです。 「首都カトマンズを直撃する地震で、政府関係者らも被災して混乱が混乱を呼んでいるのでしょう。72時間を過ぎて緊急救助は一時ストップされましたが、援助そのものが止められたわけではありません。必要な物資は膨大で、それをどう調達し、被災者に届けていくか。調査の成果、日本の経験を生かしてサポートしていきたい」という土井さん。JICAは日本の国際緊急援助隊として救助チームや医療チームを派遣中ですが、土井さんたちのプロジェクトチームも5月中旬の現地入りを目指して準備を始めているそうです。