別府国際観光港、クルーズ船入港が好調な理由は…今年度は「クイーン・エリザベス」など17隻寄港
大分県別府市へのクルーズ船入港が好調だ。コロナ禍明けだった昨年度は過去10年間で最も多い31隻が訪れ、今年度も少なくとも来年2月までに24隻の入港が予定されている。3日には、今月就航したばかりの商船三井クルーズの豪華客船「三井オーシャンフジ」(3万2477トン)が同市の別府国際観光港に到着し、市などが式典を開いて寄港を歓迎した。(池田圭太) 【写真】船内に設けられたレストラン
「私たちにとって別府は特別な場所です」。同社の向井恒道社長は、同港での式典でそうあいさつした。同市とは、大阪商船(現商船三井)が1912年に阪神―別府航路を開設した縁がある。式典では長野恭紘市長らが別府竹細工の記念品や花束を向井社長や船長らに手渡して歓迎した。
船は1日に横浜を出航し、別府市が最初の寄港地となった。その後は韓国・釜山や山口県下関市、東京を巡る。乗船客たちは早速、「べっぷ地獄めぐり」や湯布院散策などのバスツアーに出発していた。
三井オーシャンフジは、商船三井が米企業から購入した船を改修した。全長約200メートル、幅約26メートル、定員は458人で、229室の客室は全てスイートルームになっている。通信環境も整備しており、年配の富裕層や訪日客のほか、現役世代も対象に、休暇と仕事を組み合わせた「ワーケーション」の活用も見込む。
県国際観光船誘致促進協議会によると、市街地のそばに位置する同港は、温泉などの観光地を訪れやすく、県内周遊の拠点としても利便性が高いことから、全国の港の中でも人気が高い。また、市内の大学に通う留学生が多く、外国人客の案内に対応できる人材が豊富な点も強みになっているという。
同港へのクルーズ船の入港実績は2023年度が初入港9隻を含む31隻。今年度は今月3日までに、初入港の「クイーン・エリザベス」(9万901トン)など17隻が寄港した。
同協議会は国内外での誘致活動も進めており、担当者は「長年の積み重ねが実を結びつつある」と力を込める。