PCエンジンが発売された日。小さなサイズながら高い性能を秘めた名ハード。5人同時プレイの実現やCD-ROMの採用など、画期的な挑戦も多数【今日は何の日?】
※本記事は、2023年10月30日にアップした記事を再編集したものです。 グラフィックの美しさに誰もが圧倒された 【記事の画像(4枚)を見る】 いまから37年前の1987年(昭和62年)10月30日は、PCエンジンが発売された日。 PCエンジンは、NECホームエレクトロニクスから発売された据え置き型ゲーム機。任天堂のファミリーコンピュータや、セガのセガ・マークIIIおよびマスターシステムなどがシェアを競い合う時期に参入してきたハードとなる。 比較的コンパクトなボディーが特徴的で、幅と奥行だけならCDケースほどの大きさ。あるいはプレイステーション5用ソフトのパッケージくらいのサイズ感と思ってもらえばいいだろう。実際に筆者は旅行の際に持っていったことが複数回あり、持ち運びにも便利だった。ゲームソフトはHuCARD(ヒューカード)と呼ばれるカードタイプで、まとめて持っていても嵩張らなかったのがありがたい。強いて言えばコントローラーのほうが相当嵩張る。 当時としてはかなりの性能を有しており、とりわけグラフィックの美しさはすさまじいものがあった。画面の半分くらいある巨大なキャラクターどうしが戦う『THE 功夫』のビジュアルインパクトは絶大で、カンフー映画の中から飛び出してきたようなリアルな映像にゲームファンの誰もが感嘆の声を漏らしたと思う。 マルチプレイに力を入れていた点も画期的だったように思う。“マルチタップ”というコントローラー用のハブを取り付ければ最大5つのコントローラーを装着可能で、なんと5人同時プレイが楽しめた。当時5人同時に遊べたのはPCエンジンだけだったので、本機でマルチプレイにどっぷりハマったという人も多かったのではないかな。 筆者的には『ボンバーマン』、『スーパー桃太郎電鉄』、『モトローダー』、『プロテニス ワールドコート』、『フォーメーションサッカー』、『ファイヤープロレスリング』といったタイトルで回すのが仲間内の定番となっており、週末は夜遅くまで夢中になっていたのを覚えている。 もちろん、マルチプレイだけでなくひとり用のゲームも名作揃い。アーケードゲームの移植作のクオリティーの高さも評判で、前後編で発売された『R-TYPE』には感動した記憶がある。ナムコ(当時)作品は別格の出来栄えで、『スプラッターハウス』、『ワルキューレの伝説』、『源平討魔伝』、『妖怪道中記』、『ワンダーモモ』、『ドラゴンスピリット』など、話題作が目白押し。『ビックリマンワールド』や『PC原人』、『スーパースターソルジャー』などの定番タイトルのほか、『エイリアンクラッシュ』のようなピンボールゲームも高評価を得ていた。 また、PCエンジンは家庭用ゲーム機としては世界初となるCD-ROMを採用したことでも知られる。専用のCD-ROMドライブである“CD-ROM2(※)”を接続することで、当時主流だったロムカセットよりも圧倒的な大容量を使用できた。CDプレスによって量産するのも容易でコストを少なく抑えられるため、ゲームの定価が安くなるといううれしいメリットもある。 ※正しくはCD-ROMを2乗する形で右上に小さく数字を表記する。 ただ、CD-ROM2自体の価格が尋常ではなく、トータルで60000円弱もしていたので欲しくても買えないゲームファンも多かったと思われる。CD-ROM2の代表作としては、『天外魔境』シリーズや『ときめきメモリアル』、『イースI・II』などがあまりにも有名。 PCエンジンは数多くの派生バージョンの本体が発売されているのもユニークなポイント。単純に性能が上がっているだけでなく、形状がいろいろあった点もおもしろい。廉価版的な存在で宇宙船のような一風変わった形の“PCエンジンシャトル”をはじめ、モデルチェンジ版の“PCエンジンコアグラフィックス”、グラフィックチップをふたつ搭載した“PCエンジンスーパーグラフィックス”など多種多様。シャトルやスーパーグラフィックスは異彩を放っていてインパクトがあったので、当時を知る人は記憶に残っている人も多いはず。 PCエンジンシャトル。 PCエンジンコアグラフィックス。 PCエンジンスーパーグラフィックス。 さらにCD-ROM2と一体型になった“PCエンジンDuo”があり、それも“PCエンジンDuo-R”や“PCエンジンDuo-RX”といった具合に名称を変えてマイナーチェンジしているから、頭がこんがらがってしまう。 2020年3月19日には、本機の復刻版である“PCエンジン mini”が発売。HuCARDとCD-ROM2のどちらの作品も厳選されて収録されているので、いまPCエンジンをまるっと体験したいならかなりおすすめだ。