サッカーJ1名古屋グランパスの観客動員がV字回復 その理由は?
元ブラジル代表FWジョーが鉄板焼きの大将に 監督・選手も積極的にクラブをPR
クラブは観客のデータを得ることから始めた。サポーターには、Jリーグ公式のチケット販売サービス「Jリーグチケット」を使って、購入するように呼び掛けた。このサイトでは、利用者が応援するクラブやメールアドレスなどを入力し会員登録する必要がある。これにより、購入者の性別や年齢層などがクラブ側で把握できるようになった。ターゲットを絞った告知もメールマガジンとして、クラブから対象者へ直接送ることが可能になった。 イベントについても、実施後の評価を行うようにした。来場者が参加や実施を知っていたかを含め、評価や認知が低かった企画は見直しを図った。SNSでの情報発信にも力を注ぐ。試合の告知はもちろん、試合に挑む選手の動画メッセージなどをアップするようにした。フォロワー数はTwitterで40万人、Instagramも2万9000人をそれぞれ超え、さらに増え続けている。ホーム戦PRのテレビCMについても、放送スケジュールを工夫。クラブ調査で、来場者が観戦しようと決めるのは試合日の4週間ほど前からという動向が見えたため、それに合わせて放送するようにした。 監督や選手らも、クラブのPRや地域貢献に積極的に協力するようにした。今夏の祭り企画PRの画像は、ユニホーム姿の選手たちと、祭りらしい服装の選手たちの画像を駆使して仕上げた。特に、エースとして好調さをみせる背番号7の元ブラジル代表FWジョーは、鉄板焼きをする大将にふんし注目を集めた。 9月17日には、クラブが地域や商店街などへ地域貢献するサポートタウン活動の一環として、今池商店街(名古屋市千種区)の街路灯に、チームフラッグ200本を取り付けた。ちょうど地元の祭りも行われており、選手がトークショーを行って会場を盛り上げた。出演した新井一耀、秋山陽介の両選手は「試合後半で疲れても、サポーターの声援があれば気持ちが上がって頑張れる」と、集まった観客たちに来場を呼び掛けた。 さらに今年は、小中校生1万人無料招待や、クラブ史上初めて来場者全員に特製ユニホームをプレゼントするなど、これまでの常識を越えた企画も行った。10月7日にも、ガールズフェスタと銘打ち、女性先着1万人にユニホームをプレゼントする予定だ。事業統括の清水克洋マーケティング部長は「費用はスポンサーと調整できている。継続性がある企画をしていく」と自信を見せ、攻めの姿勢を崩さない。