伝統技法「組子」を駆使、東京五輪にちなんだ作品「地球時間」…閉店する大分県日田市の建具職人の集大成
展示会は10月11、12日、東京都立産業貿易センター台東館であり、全国から約100点が集まった。作品には「メッセージ性があり、形状もユニーク」などと評価する声が寄せられたという。
荒川さんは閉店を機に建具職人としてのキャリアに終止符を打ち、来年1月から介護の道に進む。「最後の最後に気にかけていた『地球時間』をお披露目できて良かった。たくさんの人に見てもらいたい」と呼びかけている。
「地球時間」は日田市役所で来年1月末まで展示後、同市の複合文化施設「アオーゼ」でも展示される。
建具店、全国的に急激な減少
建具店の急激な減少は全国的な傾向だ。全国建具組合連合会によると、連合会加盟の事業所数は1976年の1万5131をピークに減り続け、2015年は1843、現在は約1000とピーク時の15分の1程度にまで激減している。
石松建具店はこれまで社寺を主な取引先にしてきたが、最後に日田市内の一般住宅の建具を受注できた。吉野杉の無垢材(天然木をそのまま切り出した一枚板)を使ったドアや格子戸、障子などを作って10月に納入。荒川さんは「これが最後だと思うと悲しくて、作りながら何度も泣きました」と話す。