2軍落ちの京大君の消えていないチャンス
実は、この2軍落ちも頭脳明晰な田中にすれば想定内だった。 キャンプイン前のTHE PAGEのインタビューで「春季キャンプから作って、もし1軍に残れても、どこかで(2軍に)落ちるでしょう。そのときは、そこで体を作り直して、また1軍でいうことを繰り返しながら、1年目をこなせば一番いいですね。最初から1年間、フルで1軍でやるのは怪しい。まだ厳しいと自分でも思います」と語っていたのである。驚くべき自己分析能力とも言える。 ソフトバンクに打たれたのは、すべて抜けたボール。そして、制球の精度の低さでカウントを悪くするという悪循環。ピンポントとは、言わずとも、せめて、ストライクゾーンを9分割にする程度の制球力を持たねば、プロでは通用しないことを田中は、深く理解しただろう。そして彼のことだから、きっと、それに対する「傾向と対策」は、もう用意されているのだと思う。 そして、その2軍での再調整期間で、田中が課題を埋めてレベルアップを果たせば、すぐに大きなチャンスが巡ってくる可能性もある。実は、4月28日から組まれている9連戦では、4月30日の西武戦あたりから先発ピッチャーが足りなくなるのだ。もし田中が2軍で存在感を示していれば、そこで抜擢される可能性も出てくる。開幕1軍は逃したが、まだルーキーイヤーにプロで成功の第一歩を踏み出すチャンスは消えていない。 「もっと大きくなって一軍に帰ってきます」 そう言ってヤフオクドームを去った田中が、今度は「京大初のプロ1勝」でスポーツ紙の一面を独占する日も夢ではない。