「50歳までは不妊治療中心だったけど」ハイヒール・リンゴ(62)大学院進学と今の夢「目的があるほうが人生は絶対楽しい」
── 経済学と聞くと難しそうですが、國定先生の授業はおもしろそうですね。 リンゴさん:為替についてお話しされたときには、「リンゴちゃん、為替っていうのは猫のキンタマやで」なんておっしゃる(笑)。「通りすぎたあとになって、みんな“あれはこうだったのだ”とか“だから安くなったのだ”って言うから」って。そういうユニークな視点をお持ちの先生だったので、興味を持って積極的に授業を受けられました。本当に残念なことに、今年1月に急逝されたのですが、今の円安の状況を先生ならどう解説してくれただろうって今も考えます。私の「学び」の師匠のおひとりです。
■歳をとったら「苦手の克服より得意を伸ばす」 ── 素敵な先生との出会いがあったから学び続けられたのですね。とはいえ、年齢も重ねている状況で、勉強以外にもいろいろなタスクがあると現実的には両立が難しそうです。 リンゴさん:歳を重ねたら、苦手を克服するよりも得意を伸ばすようにしたほうが楽しくないですか?たとえば、英会話を習ったけど続かないっていうのは、結局英語が好きじゃないからだと思う。好きだったら、どんどん伸びると思うんです。だったら、もう英語はあきらめて自分が好きなことを学んだほうがいいと、私は考えます。そのほうが結局ためになるし、時間も有効に使えるんじゃないかなと思うんです。
── たしかに、やりたくないことを無理に学んでも身につかなさそう…。 リンゴさん:結局“何のために学び直すか”が大事なんです。時間が余っているから学び直すのか、元々興味があったけれど、これまで時間が取れなかったから学び直すのか。たとえば、毎年芥川賞と直木賞の候補作を全部読んでいる友人がいますが、彼女のLINEの文章を読んだだけで、“この人はすごく本を読んでいるな”って伝わってくる。文章が生き生きしてるんです。なんだそんなこと、って思う人もいるかもしれないけれど、私はなかなか真似できないな、スゴいなって思います。