県、法律違反認める 米事務所問題、野党追及
県が設立した米ワシントン駐在事務所の実態が株式会社だった問題で、溜政仁知事公室長は9日、県議会(中川京貴議長)11月定例会一般質問で「地方自治法、地方公務員法に違反している」と認めた。地方公務員法は県職員の政治活動や許可のない兼業を禁じている。 県の法的責任については野党の新垣淑豊氏(自民)が取り上げた。新垣氏は「法治国家として大問題。県は事の重大さを認識していない」と追及。 溜公室長は「設立にあたって文書による意思決定がなされていなかったのが大きな問題。出資にともない取得した株式が公有財産として管理、報告されていなかったことなどの改善点がある」と述べた。 事務所について「現地の専門家と相談し、当時の統括官(池田竹州副知事)の決裁を経て設立された」と説明した上で、営利活動を行わなかったため2015年の設立以降赤字が続いたとも明らかにした。 池田副知事は座波一氏の質問に対し「問題点は是正する必要がある」と答弁した。 ビザ等の各種申請について、溜公室長がワシントンDCオフィス社員として行ったと説明したのに対し、仲里全孝氏は「職員が政治活動を現地ですることを目的に登録された。地方公務員法違反だ」と断じた。 一方で、公室長は「(事務所は)在沖米軍基地について米国連邦議会と連携を促進するため設置された。政治活動にはあたらない」と述べ、この点では問題ないとの認識を示した。 また、社長の肩書で活動していた平安山英雄・初代事務所長が、RBC(琉球放送)のインタビューで「株式会社との認識はなく、自分が社長とも知らなかった」と発言したことについて、座波氏、仲里氏は県の見解をただした。 玉城デニー県知事は「必要な資料を準備して、県民に説明する」とした。 溜公室長は3日の代表質問で、事務所の駐在員が県職員と同社役員の身分を併せ持ち、兼業許可の手続きが取られていなかった事実を認めていた。