伝統のDTシリーズの最後を締め括った、2ストロークオフローダーDT230ランツァ
再評価されるべきランツァのパッケージ
DT230ランツァの目指したところ、それはモトクロッサーレプリカではなく2ストロークのセローとでも言うべきマウンテンとレールであったと考えれば全ての変更は合点がいく。軽く、足つき性が良く、エンジンの再始動が簡単なランツァはあらゆる場面での扱いやすさに優れていた。 ただ、ユーザーの多くは2ストロークエンジンを積む「DT」という名前のバイクに高いスポーツ性をイメージしていたのは間違いなく、どちらかと言えばモトクロッサーレプリカ路線を求めていた。そのため、ユーザーフレンドリーになったランツァのパッケージは少し受け入れにくかったのかもしれない。筆者の友人のカリカリのオフロード乗りも、「2ストのオフ車にセルはいらない」と当時断言していたのを覚えている。 生産中止から20年以上が経過し、ランツァの稼働台数ももうそれほど多くはないだろう。ただ、当時のオフロードバイクの常識からは異端扱いされたセルフスターター付きの2ストロークエンジンだが、セルフスターターが当たり前となった現代においてランツァは再評価されるべきモデルなのかもしれない。
DT230ランツァ主要諸元(1998)
・全長×全幅×全高:2140×800×1200mm ・ホイールベース:1410mm ・シート高:865mm ・乾燥車重:114kg ・エジンン:水冷2ストローク単筒クランクケースリードバルブ 224cc ・最高出力:40PS/8500rpm ・最大トルク:3.7㎏m/7500rpm ・燃料タンク容量:11L ・変速機:6段リターン ・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=3.00-21、R=4.60-18 ・価格:43万5000円(当時価格)
後藤秀之