《安倍政権5年》「いじめ防止法」成立も自殺など重大事態は減らず
国のいじめ防止基本方針を3月に改定
現状を受け、文部科学省は今年3月、国のいじめ防止基本方針を改定。全国の自治体でも方針の見直し作業が進んでいる。国の基本方針の改定では、福島県の原発事故による避難者や性的少数者(LGBT)や外国人の子供に対して特に配慮が必要と盛り込んだほか、教職員が一人でいじめに対応し、報告を行わない場合は同法違反になりうると注意を促した。重大事態についても、定義が不明確なことから新たな指針を策定。「リストカットなどの自傷行為を行った」などの具体例を示した。また、詳細な調査を実施していない段階で、被害を訴える児童生徒や保護者に「いじめはなかった」などと断定的に説明してはならない、などと盛り込んだ。 法律そのものの改正を求める動きもある。今年5月には、改正を求める集会が東京都内の参院議員会館で開かれた。いじめが原因で自殺した子供の遺族らは、いじめについての調査が中立に行われていない現状に問題があるなどとし、公平な調査が行われるよう法律で担保するべきだと指摘する。 取り組みが形骸化しないよう、次期政権でも引き続き同法の実効性を高めていくことが求められている。