戦時に毒ガスを研究「ウサギの島」まさかの実態とは? 戦時中の痕跡があちこちに残っている
毒ガス島になってからは、施設を改装し、貯蔵庫として使用していた。 山道を登っていく。普段の不摂生がたたって、かなりしんどい。 島内の地図を見ながら歩いていたのだが、立ち入り禁止になっている場所がとても多かった。展望台や中部砲台跡に進む道も立ち入り禁止でとても残念だった。老朽化による崩落の危険などあるかもしれないが、もうちょっと見られるようにして欲しい。 最後に見えてきたのが発電所跡だ。黒ずんだコンクリでできたかなり大きな施設だ。外から見ると3階建だが、建物内は階層わけされておらずかなり広々した空間になる。当時はディーゼル発電機が8基設置されていたらしい。現在は全部取っ払われてしまっている。
建物の外にはほとんど消えかけているが英語で表記がしてあった。米軍に押収されている時代に書かれたものだろう。 この建物は「ふ号作戦」に使用される兵器の制作にも使われていたという。「ふ号作戦」とは、気球に爆弾を乗せて、ジェット気流を利用してアメリカまで飛ばしてアメリカ本土を空襲するというトンデモ兵器である。実用されたが、ほとんど戦果は上げることができなかった。 その風船爆弾をこの施設でふくらませ、弱い部分を補修したりしていたそうだ。
■かわいい、かっこいい、うまいがそろった大久野島 ぐるりと1周回って来た。入場料は100円だった。 2時間ほどかけて回ったので、毒ガス資料館はすでにオープンしていた。 島の成り立ちから戦中の様子、そして戦後の毒ガスの処理と“毒ガス”という厄災と関わり続けてきた島の歴史がわかりやすく展示されていた。当時の技術では当然起きた、事故や漏れなどについても描かれている。 というわけで駆け足で回った大久野島だったが、細かい見どころはまだまだたくさんあった。夜中に歩くのも怖くて楽しそうである。休暇村があり9000円から宿泊することができる。キャンプ場もあり、フリーテント場なら410円で借りることができる。大浴場もあってこちらも1回410円だ。
僕は軍事遺構ばかり見ていたけど、人が一番たくさんいたのはキャンプ場だった。 見どころは、ウサギと軍事遺構とバーベキュー! つまり、かわいい、かっこいい、うまい、と3点そろったのが大久野島なのだ。
村田 らむ :ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター