米家計債務が過去最大を更新、低所得層を圧迫-返済延滞率も上昇
(ブルームバーグ): 米国の家計債務は7-9月(第3四半期)に過去最高を更新した。所得増加で負担に耐えられる消費者は多いものの、低所得層では家計逼迫(ひっぱく)の兆しが見られている。
住宅ローンや自動車ローン、クレジットカード、学生ローンの債務水準が増加し、7-9月の全体の家計債務は17兆9000億ドル(約2780兆円)となった。ニューヨーク連銀が発表した。全体として世帯の収入は負債を上回ったが、若年層や低所得層はより厳しい状況にあると、同連銀の調査担当者は指摘した。
ホームエクイティー・ローン(住宅価格からローン残高を差し引いた持ち家の正味価値を担保とする融資)を組む住宅所有者は10四半期連続で増え、ホームエクイティ-・ローンは3870億ドルに拡大。
クレジットカード残高は240億ドル増加して1兆1700億ドル。口座数は過去最高の6億件に達した。自動車ローン残高は180億ドル増の1兆6400億ドル。学生ローン残高は210億ドル増えて、過去最高の1兆6100億ドルとなった。
全体の家計債務残高の70%を占める住宅ローンも過去最大を記録し、12兆6000億ドル。
ニューヨーク連銀の経済調査アドバイザーを務めるドンフーン・リー氏は「家計債務は名目ベースでは増加し続けているが、収入の伸びは債務を上回っている」と発表文で指摘。「ただし、返済延滞率の高止まりは多くの家計が抱えるストレスを明るみにしている」と続けた。
延滞率は前四半期からわずかに上昇。個人の信用報告書に破産の記載が加えられた消費者は7-9月に約12万6000人となった。全体として、未払い債務の3.5%は延滞段階に入っていた。この比率は4-6月(第2四半期)の3.2%から上昇した。
原題:Household Debt at New Record Is Squeezing Low-Income Americans(抜粋)
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Alexandre Tanzi, Jonnelle Marte