「将棋の駒」パスタで「将棋のまち」アピール、給食提供で歓声
今秋に関西将棋会館(大阪市福島区)が移転する大阪府高槻市で、小中学校の給食に将棋の駒をかたどったパスタ入りのスープが提供された。市は「将棋のまち」をアピールしており、市教委が将棋に対する親しみを持ってもらおうと企画。児童らは珍しい形に驚きながらもおいしそうにほおばっていた。 【画像】大阪府高槻市に移転する関西将棋会館の完成予想図 このパスタは、山形県の製麺所が製造しており、「王将」「飛車」「と金」に加えて、縁起が良いとされる「左馬」の計4種類がある。ゆでてもしっかりと形は残り、モチモチした食感が楽しめる。トマトベースのスープに野菜と一緒に煮込み、イタリアの家庭料理として親しまれているミネストローネに仕上げた。 市教委によると、全約2万8千食をつくり、市立小中学校全59校で提供した。 市立桃園(とうえん)小では、「パスタが王将の形になっている」と児童たちから驚きの声が上がった。担任教諭らが、市が展開している将棋のまちの取り組みについて紹介した後、児童らはパスタを食べながら将棋にまつわる話をするなどして給食を楽しんだ。 市教委の担当者は「児童生徒らの反応を見ながら、2度目の提供を検討したい」と話している。 ■オール高槻で盛り上げ 「関西将棋界の殿堂」として親しまれてきた関西将棋会館は、JR高槻駅西口近くに移転。11月17日には完成記念式典が行われる。 「将棋のまち」を名乗り、将棋との縁を深めてきた高槻市だが、その発端は平成元年、高槻城の発掘調査で47枚もの将棋の駒が見つかったことだ。市は「昔から高槻で将棋がたしなまれてきたことを物語る史料」とアピールする。さらに、市出身や在住といったゆかりの棋士も多いことから、平成30年に日本将棋連盟と包括連携協定を締結。令和元年に関西将棋会館の移転先に名乗りをあげ、3年に正式に移転が決まった。 タイトル戦の誘致も進め、平成31年から6年連続で王将戦の誘致に成功。昨年5月には名人戦も行われた。将棋関連のイベントを開催するほか、2年前から全41市立小学校の1年生に市産の木材で作った将棋の駒を配布。棋士や女流棋士が学校で出前授業を行うなど、幼少期から将棋に親しめる環境を整えている。 関西将棋会館の移転決定を受けて4年4月には、市将棋のまち推進課を新設。移転後は棋士が市を訪れる機会も増え、さらに将棋が身近になる可能性も高まる。信沢友彦課長代理(46)は「『将棋のまち』を体感し、行政だけでなく市民や企業を含めた『オール高槻』で地域活性につなげていきたい」と話している。(格清政典)