夢女子歴15年。現実の彼氏とうまくいくのは「妄想の中で“面倒な自分”を発散しているから」
大学時代の恋愛のトラウマから男性アイドルにハマって
――失恋後、どうなりましたか? サッカー選手を一緒に追いかけていた女友達が励ましてくれました。 そして、失恋の傷を癒すべく、「アイドルはいいぞ」と、次は某有名アイドル事務所をおススメされたんです。最初は「とうとう男性アイドルにいくのか……」と抵抗感もありましたが、友人の影響もありハマりました。 ――誰が好きだったのですか? タイプの違う3人のアイドルです。私は恋愛のトラウマから、ひとりにだけのめり込まないよう、推しを3人作っていました。あえて、推しを分散させていたんです。 ――どのように分散させていたのですか? たとえば、おしゃべりでダンスがうまいアイドル、知的でクールなアイドル、甘えん坊な年下アイドル、といった感じでキャラの違う推しを3人作ります。そうすることで、そのうちのひとりがいなくなったとしても、同じようなキャラの別のタレントを補充すればいい、という気持ちになれます(笑)。自分が傷つかないような推し方をしていましたね。 ――それぞれ、まったく違うタイプのアイドルを推すのはなぜですか? アイドルを自分の憧れた恋愛シチュエーションにあてはめて妄想したかったからです。夢小説を書いていた時のように、舞台が学校なら「このアイドルが先生だったら」「このアイドルが後輩だったら」と妄想したい。舞台が会社になったら「この人が会社の先輩だったら」「取引先だったら」と。さまざまなシチュエーションで妄想をしたいと望んでいたら、自然と推しの年齢や性格はばらけていました。
30歳、妄想が楽しい!
――現在も、3人のアイドルを推しているのですか? そうですね。夢女子は、サッカー選手の頃から換算して、かれこれ15年しています(笑)。友達と一緒なので、楽しいです。 ――リアルな恋愛はしていますか? 最近になって、職場で出会った人と付き合うことになりました。 ――その恋人にも、夢小説のようなデートを求めますか? いいえ、夢女子としての自分と、リアルの自分は区別しています。推しは妄想するだけ。妄想の中だったら、めちゃくちゃ面倒くさいメンヘラ女子になることもできるし、ワガママも言いたい放題。でも現実でそれをしちゃったら、関係が破綻してしまいますから。 ――では、恋人にはワガママは言わないのですか? あまり言わないですね。恋人に不満もなくて、関係が良好なんです。それは私が妄想の中で、恋愛における“面倒な自分”を発散しているからかもしれないと、最近は思いますね。 ――恋人はアイドルの追っかけをしていることを知っていますか? はい。でも、私がここまで妄想していることは知らないと思います(笑)。 ――今後も夢女子を続けていきますか? もちろんです。女友達とは15年来の夢女子仲間でお互い30歳になりました。 今後ライフスタイルが変化しても、毎年推しのコンサートに行って、前泊のホテルのエレベーターで「推しが乗ってきたらどうする!? キャー!」なんて妄想をし続けたいですね。 恋人や推しはいなくなるかもしれないけれど、女友達は一生ものですから。
取材・文/毒島サチコ