「ストロングハイブリッドシステム」実用化、マツダが描く構想
マツダは中大型スポーツ多目的車(SUV)「ラージ商品群」に搭載しているパワーユニットを使う「ストロングハイブリッドシステム」の実用化を構想する。同社は2030年に車両電動化比率100%の目標を掲げており、内燃機関(ICE)車のマイルドハイブリッド車(MHV)化やMHV技術を発展させたストロングハイブリッド車(HV)が主力となる見通しだ。できる限り車両価格を上げずに電動化技術の搭載車拡大を推進する。 【写真】マツダがラージ商品群向けで開発した8速自動変速機 マツダは各国・地域の規制をにらみながらマイルドとストロングの両ハイブリッドシステムを適材適所で使い分けていく方針だ。ラージ商品群で48ボルトMHVを実用化したが、車両の重量化に伴い、回生エネルギーの発生量は増加。ムダにしている回生エネが多いため、電動ユニットの電源電圧を100ボルト以上に高めて、回生エネ回収量の最大化を狙う。 回生エネの活用拡大でエネ効率の改善や排ガス抑制効果が見込める。電池の搭載量などが増える一方、自動車用組み電線(ワイヤハーネス)を細線化できる利点もある。 一般に100ボルトを超えるとストロングハイブリッドと言われる。他社のストロングでは数百ボルトを主流としているが、マツダはそれよりも低い電圧を想定する。部品コストに効く汎用性と回生エネを適切に回収できる出力のモータージェネレーター(MG)などを考慮しながら、最適な電圧を選択する考えだ。 ラージ商品群に設定したMHV「48ボルトMハイブリッドブースト」は、直列6気筒3300ccのディーゼルエンジンとトルクコンバーターレスにした8速自動変速機(AT)との間に小型モーターを挟み込んだ。ごく限定的ながら電気自動車(EV)走行も可能。モーターはATユニットに内蔵する形で、ステーター(固定子)の断面は、プラグインハイブリッド車(PHV)用の大出力モーターと共通径にしている。軸長を変えることでMHVとPHVのモーター、いずれにも対応できるよう設計時に配慮しており、中間サイズのモーターを想定するストロングHV化でも有利に働く。