尊徳の教え 未来に 桜川で全国サミット 講演、意見交換 青木堰再建事業を分析 茨城
江戸時代の農政家、二宮尊徳(1787~1856年)を顕彰する「全国報徳サミット」(実行委主催)が16日、茨城県桜川市羽田の大和ふれあいセンターシトラスで開かれた。尊徳にゆかりがある市町村の関係者が集まり、尊徳の教えを未来に生かそうと、首長によるパネルディスカッションや学芸員の基調講演を実施。来場者約700人が熱心に聞き入った。 サミットは「時代を超えて息づく 報徳仕法によるまちづくり」をテーマに開催。開会式で大塚秀喜市長があいさつし、「現代社会が抱える課題は尊徳の教えを心に留め、地域住民が一体となって取り組むことで乗り越えられると確信している」と力を込めた。 前半は小中学生による学習発表、後半は平塚市博物館(神奈川県)の早田旅人学芸員による基調講演が行われた。 早田学芸員は、天保年間に尊徳が主導した青木堰(ぜき)(桜川市青木地区)の再建事業について、財源や担い手の身分を分析。尊徳の財政再建事業が新百姓や負債人の雇用の受け皿として機能し、人口流出の抑制や農業生産力向上につながっていたことを指摘した。 パネルディスカッションでは大塚市長の進行で、6市町村の首長が意見交換。尊徳の教えをまちづくりに生かすために各市町村が取り組む子どもたちへの教育活動、地域振興事業などを紹介し、現代に通じる尊徳の思想について理解を深めた。来年度は神奈川県秦野市で実施される。
茨城新聞社