東北学院榴ケ岡が初の東北大会出場へ、エース佐々木健８Ｋ１失点完投 目標は「センバツ」／宮城
＜秋季高校野球宮城大会：東北学院榴ケ岡4－1石巻工＞◇29日◇3位決定戦◇仙台市民球場 東北学院榴ケ岡が3位決定戦で石巻工を4－1で破り、初の東北大会出場を決めた。先発のエース佐々木健斗投手（2年）が、3安打8奪三振1失点（自責0）の完投でチームを初舞台へと導いた。 いつでもエースは冷静だった。4－0の7回1死一塁から味方の連続失策で満塁とされ、佐々木健はこの日最大のピンチを迎えた。だが「3年生がいた時のピンチに比べたら全然小さいな」と焦りは一切なかった。1年春からベンチ入りし、同年秋からエース番号を背負い、誰よりも経験を積んできた左腕。だから、冷静さを保てる。 次打者を二ゴロに打ち取ったが、併殺崩れの間に1失点。表情は変わらなかった。「1点もやらない気持ちでしたけど、終わったことは仕方ないことなので…」と、すぐに切り替えた。けん制で一塁走者を刺し、嫌な流れを断ち切った。 今春から腰痛を患った。整骨院に通院しても完治はせず、今秋も痛みのなかで腕を振った。球速に影響が生じた。前2試合は球速を意識し過ぎ、持ち味の制球力も乱れた。計11イニングで6四球。初の東北切符が懸かる大一番を前に、今できる最大限の投球に切り替えた。「球速が出ない分、コーナーを突いて、変化球をうまく使いました」。直球は最速130キロを大きく下回る120キロほどでも、制球重視で厳しいコースを攻め、1四球にとどめた。「今日はストライク先行で、自分のピッチングができました」と、歴史を変える立役者になった。 初めての舞台に胸を躍らせる。すでに東北大会出場を決めている聖光学院（福島）の芳賀巧外野手（2年）は、小中の同級生。甲子園常連校でレギュラーをつかむ芳賀に闘志を燃やし「対戦したい」と口にした。「東北大会では今日のようなエラーが出たら一気に（流れを）持っていかれて勝てないと思うので、守備を強化していきたい」と佐々木健。掲げる目標は「センバツ出場」だ。これで満足せず、まだまだ歴史を塗り替えていく。【木村有優】
