「大人、大嫌いでしたね」元19(ジューク)・岩瀬敬吾が20歳で抱いた大人への反発と警戒、それでも音楽をやめなかった理由
2024ニッポンの成人#6《後編》
1998年にメジャーデビュー、2002年に解散するまでの約3年間、19として活動したミュージシャンの岩瀬敬吾。20歳のころの大ヒットや、周辺の変化に対する心情を振り返ってもらったインタビュー前編に続き、後編では、45歳になった今だから抱く「20歳」への思いや、リリースしたばかりのアルバム『traditional humming』について聞いた。 【画像】約25年ぶりに「紙ヒコーキ」を飛ばす元19の岩瀬敬吾(45歳)
就職難と厳しい体罰。いろいろなことに警戒していた
――若いころの自分を振り返ると「バカだったな」と思う人が大半だと思いますが、岩瀬さんの20歳のころは、シビアに現実を見ていた気がします。当時を振り返ると、今の自分とは違うなと思いますか? 考え方は変わっているし、アップデートされた部分もありますけど、あまり変わっていないと思います。「20歳のころはバカだったな」と思うような、バカをする時間があのころ、なかったので。 僕らはロスジェネレーションと呼ばれる世代で、高校時代にバブルが崩壊して、就職も厳しい時代で。学校では体罰もありましたし、いろいろなことに警戒して、能天気には生きていなかったと思います。 世の中には、いいやつと悪いやつがいるっていうのが、当時からわかってきていましたし。いい人だと思って心を許すと、実は悪い人だったって思うこともあったり(笑)。そういうことでへこんでいましたね。
根拠のない自信を持つバブル世代の大人に反発
――20歳のころ、大人は信頼していなかったですか? 大人、大嫌いでしたね(笑)。 ――やっぱり、反発が大きかったんですね。 時代もあったと思うんですよね。事務所やレコード会社で、僕たち20歳ぐらいのアーティストを管轄するのは30歳前後のスタッフだったんですけど、彼らはバブル世代なので「物事はうまく回るに決まってる」と思っている方が多くて。感覚が僕らと違うんです。その自信はどこから来るのか、謎でしたね(笑)。 ――ピュアにはしゃいでいたというより、大人たちに挟まれた厳しい期間だったわけですね。そういう20歳前後を過ごした経験は、その後のご自身の人生にどう影響を与えていますか? すごくよかったと思います。特に音楽に関わる部分で、大変なこともたくさん経験して、それがあったからこそ、そうではない、別の音楽のやり方に対する意欲が湧きましたから。 ――音楽を嫌いになることはなかったのでしょうか? まったくならないです、大好きなので。嫌になるとしたらその周りの部分であって、僕は作品を書くことが本当に楽しくて。今回のアルバムを作る上でも、時間や制作費の面でタフなこともありましたけど、それでも音楽を作るのが本当に幸せで、ものを作るって素晴らしいことなんだと改めて痛感しました。