【トランプ勝利】どうなる?ロシアのウクライナ侵略、「戦争を止める」発言にプーチン政権はどう反応したか
プーチンとの個人的な関係も
そんな中で、トランプ氏が共和党候補としての地位を確立した今年4月、米ワシントンポストが特ダネを報じる。同紙は匿名の情報筋からの情報として、トランプ氏がウクライナに譲歩させる案を画策していると伝えた。 トランプ氏はブレーンらと話し合ったのち、ゼレンスキー政権に対し、14年にロシアの支配下に置かれた南部クリミア半島や東部ドンバス地域をあきらめさせ、ロシアに引き渡すよう促すのだという。 ゼレンスキー政権はロシアが本格侵攻を初めて拡大した支配下地域だけでなく、そもそもクリミア半島やドンバス地域からもロシア軍を追い出そうと激しい抵抗を続けている。ワシントンポスト紙が報じたような案であれば、ゼレンスキー氏がこれを拒絶することは目に見えている。さらにバイデン政権が取ってきたウクライナへの軍事支援政策も根本的に変えることになる。 米国はロシア軍の進軍を退けようとするウクライナにとって最大の支援国。これまでのバイデン政権下で武器、弾薬、防空システムなど総額60億ドル(約9兆円)以上の支援を行ってきた。 「米国第一主義」を掲げるトランプ氏はこうした民主党政権の姿勢に対しても反対しており、西側民主主義国の中でのウクライナへの軍事支援の米国の比重を下げたい思惑も見え隠れする。 トランプ氏は24年4月、米タイム誌のインタビューで、11月の選挙で当選してもウクライナへの軍事支援を続けることを努めるが、欧州諸国は「相応の負担をしていない」として、米国と同様に「自らの役割を果たさなければならない」と訴えてみせた。
さらに10月15日に発売され、米政界の内幕を描いた著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏の新作「War」では、トランプ氏とプーチン氏の個人的な関係も暴露された。 トランプ氏は21年の退任後もプーチン氏と最大7回、個人的な電話をしたとされ、コロナ禍が猛威を振るっていた20年には貴重な検査キッドを送ったという。 こうした過去の経緯からトランプ氏はロシアとの関係を重視し、ウクライナへの支援を停止することで戦争を終結させるのではないかという憶測が広がった。