機械式とクォーツが融合した傑作！

GMT針を備える、国産高精度クロノグラフ「グランドセイコー スポーツコレクション SBGC253」

スマートフォンひとつあれば世界各地の時間がひと目でわかる時代だからこそ、あえてアナログのトラベルウォッチに注目したい。いよいよ本格的に空港や観光地がにぎわいを取り戻した2024年。エンジン時計委員会が、機能的にもデザイン的にも優れたトラベルウォッチを厳選した。2本目の今回は、機械式とクォーツのいいとこ取りという画期的なスプリングドライブ「キャリバー9R」の誕生20周年記念モデル、グランドセイコーのスポーツコレクションを取り上げる。 【写真１１枚】海外やドライブ、過酷な旅先で心強いグランドセイコーのクロノグラフ、スポーツコレクションの詳細画像を見る ◆GMT針を備える、国産高精度クロノグラフ「グランドセイコー スポーツコレクション SBGC253」 独自のムーブメント、スプリングドライブにクロノグラフとGMT機能のふたつを搭載した多機能モデル。第二時間帯表示は24時間針とベゼルの目盛りで行うスタンダードなタイプ。また、ラグ形状に象徴される大胆な面構成によるマッシブで力強いデザインはグランドセイコーのシンボル、獅子の紋章からのインスピレーション。スプリングドライブ自動巻き（手巻き付き）。ブライトチタン、ケース直径44.5mm、20気圧防水。163万9000円。 ◆Another Choice：イメージは「夏の穂高連峰の朝焼け」スポーツコレクション SBGE305 2024年は、機械式の機構とクォーツの高精度を併せ持つ画期的なスプリングドライブ「キャリバー9R」誕生20周年。記念モデルのひとつは早くからGMT機能が搭載されたことに因んだもの。赤いダイアルに黒いセラミックベゼルを組み合わせたイメージは「夏の穂高連峰の朝焼け」だ。スプリングドライブ自動巻き（手巻き付き）。ステンレススティール、ケース直径40.5mm、20気圧防水。世界1300本限定（国内600本）。84万7000円。6月発売予定。 ◆「アナログ針は人間の感性に合う」柴田充 ドライブの旅は楽しい。でもその際に腕時計に特別な利便性を感じたことはない。クロノグラフもせいぜいパーキングの経過時間を知る程度だ。それでもドライビングと親和性が高いのはメーターパネルを思わせる“多針”にある。クルマがデジタルメーター化しても針表示は変わらないのは、速度と時間といういずれも目に見えない存在の可視化においてアナログの針は人間の感性に適しているからだろう。旅もドライブもエモーションであり、この時計がタキメーターを備えていないことにも納得する。 ◆「いつでも気分は侍ジャパン」篠田哲生 四方を海に囲まれる我が国ゆえ、ぼーっと電車に乗っているだけで国境を越えてしまうヨーロッパと違って、“外国に行く”という心理的ハードルは大きい。だからこそ海外旅行に行く時は、安心安全の日本ブランドを持っていきたいという気持ちがある。時計はもちろんグランドセイコーであり、国を代表して戦う時計ブランドの雄姿には勇気づけられる。このモデルは雄々しいライオンがモチーフというのも気持ちを奮い立たせてくれるし、もちろんローカルタイム針を独立して動かせる機能性は申し分なし。 ◆「旅に連れ出したい遊び心と安心感」細田雄人 以前、所属する媒体の企画でCal.9R86搭載機を1週間ほど着けたことがある。圧倒的な高精度と時針の単独調整ができるGMTの扱いやすさは、まさに時差を伴った移動にうってつけの1本だった。モデルによっては“旅”というより、“出張”という感じのルックスも多いグランドセイコーの9R搭載コレクションだが、こちらはライオンのたてがみモチーフの文字盤に遊び心が感じられて、積極的に海外への旅に連れ出したくなる。心細い時もあるだろう異国での休暇中に、「壊れない」「狂わない」日本製時計の存在は、心強いに違いない。 （ENGINE2024年5月号）