クマ出没でネット上は集団ヒステリー状態…ニホンオオカミを絶滅させた頃に似た嫌なムード
報奨金は登録許可を受けた人のみに
1頭当たりどれくらいの支給額なのか? 最も高いのは、イノシシとシカ(成獣)のジビエ利用(食用)で9000円。次が成獣のクマとサルの8000円、ハクビシンやアライグマなどその他の獣が1000円、カラスなどの鳥類は1羽200円となっている。 「栃木県鹿沼市ではイノシシ1頭につき、国からの報奨金8000円のほか、栃木県の補助の3000円、さらに市独自の5000円を加え、計1万6000円がハンターに支給されます。同じくニホンザルは国の8000円に市独自の1万円を加えて計1万8000円です」(前出の中森氏) とはいえ、勝手にニホンザルを捕獲して1万8000円を手にできるわけではない。 鹿沼市経済部林政課の担当者がこう言う。 「報奨金は登録許可を受けた人のみに支払われます。捕獲方法はワナやライフルを問いません」 国は認定鳥獣捕獲等事業者として163の事業者を認定しており、害獣の駆除が“事業”として成り立っている側面もあるようだ。 その鹿沼市に隣接するのが、日光東照宮がある日光市。「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿が有名で、日光で猿といえば神様の位置づけだが……。 「日光市はどうであれ、鹿沼市はニホンザルの駆除には報奨金を上乗せしています。昨年は31頭が捕獲されました」(前出の担当者) ちなみに、日光市では独自の上乗せ分は設けておらず、報奨金は国からの8000円のみだ。
捕獲したらもっとも報奨金が高い野生動物は?
では、他の自治体で害獣の駆除にどれくらいの報奨金を支払っているのか? ハブの捕獲に報奨金を出しているのは、鹿児島県徳之島町。1匹当たり3000円だ。 「山間はもちろんですが、雨上がりになると街にもハブの出没が目立ちます」(徳之島町住民生活課) 沖縄県では年間50~60件前後の噛まれる被害が報告されているが、昨年は45件で、統計を始めた過去60年間で最低だった。2000年以降の死亡者はいない。そのため報奨金を廃止する自治体が増えており、今帰仁村でも1匹500円だ。 変わり種としては、小型のシカで特定外来生物のキョンの捕獲に千葉県一宮町は1頭当たり5000円を支給。また、茨城県はキョンの県内侵入を防ぐため、4月以降に撮影されたキョンの生きている画像や動画に情報料として2000円を支給する。さらに許可された者がキョンを捕獲した場合は1頭当たり3万円の報奨金を出す。 大阪府堺市は箱わなでアライグマを捕獲した場合に1頭2000円。 兵庫県神戸市はアカミミガメ(ミドリガメ)の捕獲で9匹までなら1万円、10~24匹で2万円、25~49匹で3万円……75匹以上で5万円(上限)を支給。支給は団体に限られるが、なんと捕獲数が多い上位3団体は表彰された上、最大10万円の副賞までもらえる。 害獣や特定外来生物に指定され、人への危害や農作物への被害をもたらす動物たち。特にクマのような野生動物の怖さを知れば「かわいそう」とばかりも言っていられないが、危険を避けるなら近づかないのが賢明。 昨年、クマによる人身被害が最も多かった秋田県は、事故を未然に防ぐため八幡平や十和田高原地区などへの入山を禁止中で、里山への侵入防止策としてクマの隠れ場所を消す道路や河川敷などのやぶ払いを進めている。