【国内最速試乗】マッチョな個性派がやってきた 激戦コンパクトSUV市場に挑むスズキ「フロンクス」の実力をチェック
バランスの取れた完成度の高い走り
試乗で最初に思ったのは、一歩目が意外に力強いということ。ただし、パワーが十分というわけではない。 試乗コースはアップダウンのきついワインディング風であったこともあり、快活に走るには、パドルシフトを駆使して、4000回転以上をキープする必要があった。その時のエンジン音は、4気筒らしい粒の揃ったビートを奏でる。 一方、ゆったり走るときのエンジン音は、控えめそのもの。音量差にメリハリがあるのだ。また、スポーツモードを選べば、パドルシフトを使わずとも、常にエンジンの高回転が維持される。 最高出力は74kW(100PS)しかないものの、車両重量が1070kgしかないことで、それなりに楽しく走ることができたのだ。 ステアリングの手応えは重めで、足回りはシャキッとしている。ただし、クルマ全体の動きは、ゆったりと安定志向。俊敏にコーナーで向きを変えるのではなく、ゆっくりと、それでいて素直に鼻先を変えてゆく。また、ロールは少ないものの、路面のギャップは上手にいなしており、乗り心地は悪くない。 スポーティーではあるけれど、全体としては、安定&安心を志向する快適なハンドリング&乗り心地であったのだ。 ルックスはクーペライクでありながらも、インテリアには上質感がある。走りの方も、キビキビ走ることはできるけれど、基本的には快適で安定志向。スポーティをベースにしながら上質さをトッピングしたモデル。言ってみれば、インテリアも走りも「上質なスイフト」。それがフロンクスであったのだ。
試乗車のスペック
■日本仕様プロトタイプの数値(カッコ内は4WDプロトタイプの数値) 全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm 駆動方式:前輪駆動 車両重量:1070kg(1130kg) パワートレイン:直列4気筒1460cc 使用燃料:ガソリン 最高出力:74kW(73kW)/6000rpm 最大トルク:135Nm(134Nm)/4400rpm モーター型式:直流同期電動機 最高出力:2.3kW/800-1500rpm 最大トルク:60Nm/100rpm ギアボックス:6速オートマティック タイヤサイズ:195/60R16(フロント/リア)
鈴木ケンイチ(執筆) 花村英典(撮影) 香野早汰(編集)