バレー久光とJTは快勝スタート 今季で引退・木村沙織の東レは黒星
JT・田中「プレミアで戦えることに感謝しながら」
3シーズンぶりのプレミアリーグ復帰戦で、今季から多治見麻子新監督が率いる前回5位のトヨタ車体に完勝したJT。車体のエース・ポリーナの強打を粘り強く拾い、セッター田中美咲がコートキャプテン奥村麻依や寺井有美のミドル攻撃を中心に、田中瑞稀、中村亜友美のサイドに加え、シッティラック(オヌマー)のセンターからのバックアタックなどうまく織り交ぜ、総力で攻め返した。 「大きい選手がいないので全員で拾って全員で攻撃するのがJTのバレー。練習でやってきたことが出せたと思う。1本目のパス(サーブレシーブ)が安定していたし、ミサキ(田中)のトス配分もよかったと思います」と吉原知子監督はホッとした笑顔。「プレミアで戦えることに感謝しながら、自分のできることを全力でやりました」と田中美咲も嬉しそうに話した。 「ハードワークだけはどのチームにも負けない」と選手が口を揃えるように日々の練習は終了予定時間を1、2時間オーバーすることも珍しくない。そんな厳しい練習はすべて「日本一になる」ためだ。 「(開幕戦で勝てて)いいスタートが切れました。自分たちは失うものはないからチャレンジ精神で。目標はトップ。そのために一戦一戦勝っていきたい」と奥村。「相手監督が男性だろうが女性だろうが関係ない。勝つことだけです。(トップを目指してチームや選手を強化して)2020年に向かってバレーを盛り上げていきたい。そして東京で金メダルが取れたらいいなと思います」と吉原監督は東京五輪を見据え、きっぱりそう言い切った。
東レ・木村「最後に日本のファンの皆さんの前で」
一方、プレミア新昇格のPFUに敗れ、開幕戦を飾れなかった東レ。海外クラブ(アゼルバイジャン)でプレーした経験もあるPFUのセッター松浦寛子の巧みなトスワークからエースの江畑幸子や三橋聡恵に勝負どころで前後から打ち込まれた。さらには攻撃がサイド主体と単調になったところをブロックで仕留められ、東レ自身のミスも出ての敗戦。 「全然いいところがなく、自分のきょうのできは最低。チームを引っ張れなくて情けない」と木村沙織が目を伏せれば、「ミスが多くて、東レのリズムを作れなかった」と迫田さおりも下を向いた。 菅野幸一郎監督によれば、木村、迫田の2人はリオ五輪後に「もうバレーは十分」と辞めるつもりでいたという。菅野監督の説得により今リーグを戦うと決め、練習に戻ってきたのは迫田が開幕1カ月半前、木村は1カ月前のことだった。 「リオで最後と言ってきたので終わりにしようと思っていましたが、お世話になってきた東レのことや、リオには応援にこられなかった母のことを思って、最後に恩返しの思いで(今リーグを)やろうと思いました。日本のファンの皆さんの前でプレーできるなら嬉しいと思って」と木村。迫田は「自分で終わるって決めていましたが、両親にももう少しプレーを見せたいと思いましたし、今いる東レのメンバーに何も残せないで終わってしまうより、少しでも何かを伝えてからとも思いました。バレーの有名校出身でもない自分が東レに入り、東レで成長させてもらった、支えてもらった。やると決めたからには原点に戻って、自分らしくプレーして、自分はこういうプレーヤーだということをファンの皆さんにも見てもらいたいと思います」と話した。 開幕戦は飾れなかったが、コンディションは悪くないという。今季に懸ける思いも熱いままだ。「次を開幕戦と思ってまた一から頑張ります。難しい試合が続くと思いますが、若い選手に優勝を経験してもらいたいので、そのためにどういうことが必要なのか、どう過ごせばいいのか、そういうことも伝えながら。母も見にこられる試合が多いと思うので、喜んでもらえるようなプレーをしたい。もっと(バレーが)上手になりたいです」。そう言って木村は笑顔で体育館を後にした。