一般道“175㎞”でクルマを走行した男性が逮捕 スピード違反は何㎞オーバーから厳罰になる?
スピード違反の実状
100㎞超の速度超過にはあきれるばかりだが、警察庁の統計では2023年の速度違反全体の検挙数は88万8500件(違反種類別では全体の16.2%)。その最大のボリュームゾーンは「20㎞以上25㎞未満」で29万2723件(約33%)。50㎞以上の速度超過は1万2508件で全体の約1.4%にとどまっている。 なお、過去の速度超過では、2021年6月に神奈川県川崎市の国道246号線を法定最高速度の時速60㎞を114㎞オーバーした事例、2018年3月に中央高速道上り車線を135㎞オーバーで走行した事例などがある。 スピード違反といえど、100㎞超ともなればより厳罰に処されそうだが、原則的には50㎞以上のくくりであり、ケースによっては懲役刑もあるというのが実状だ。
危険運転も含まれる”高速走行”
一方で、危険運転という視点で、より厳罰に問われる可能性もある。平成26年5月に施行された「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(自動車運転死傷処罰法)第2条第2号で、危険運転行為が類型化されており、その中に、「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」が含まれている。 状況によっては大幅な速度違反にこの法令が適用される可能性もあり、そうなれば厳罰に処せられ得る。 ところが、どれだけ高速で走行しても、まっすぐ走れてさえいれば「危険運転」ではないという、信じがたい裁判所の判断が続いているという事実もある。 「高速暴走・危険運転被害者の会」代表顧問弁護士である髙橋正人弁護士は、これについて「法律が縮小解釈されている実態がある」と指摘し、「今のままの法解釈では、たとえば時速300km、500kmで事故を起こしても、そこが直線道路なら『車を制御できている』ということになってしまいます。こんなに常識はずれで、ばかげたことはありません」と憤慨する。 スピード違反が危険な理由は、速度に比例し、運転時の視野が狭まり、判断が鈍ることにある。安全に運転していれば、移動手段として便利な自動車だが、運転者がルールを逸脱した途端、”凶器”にもなり得る。 「早く家に帰りたい」というだけで、115㎞もの速度超過をしてしまうドライバーがいるというのは、ただただ恐怖でしかない…。
弁護士JP編集部