「部屋は血の海になっていた」首相側近・木原誠二氏、妻の元夫が自宅で“謎の不審死”…“捜査一課・伝説の取調官”が明かす《木原事件》の全容
捜査一課時代の上司から「文春読んだ?」と電話が…
それにしても――と俺は思った。 「週刊文春」の記事はこの事件の捜査が辿った経緯を、あまりに詳細に伝えていた。何しろ、捜査を行っていた俺ですら5年が経ち、すでに記憶があやふやになっていたそれぞれの捜査の日付が、記事のなかでははっきりと正確に断定されている。そんなふうに日付を断定するのは、報告書や捜査官のメモなどの裏付けがなければ絶対にできない。 「じゃあ、誰が喋っているんだろう」 俺が知人から文春の記者の連絡先を伝えられたとき、電話をしようと考えたのは、そういう好奇心からだった。 そもそも、事件を報じた「週刊文春」の記事の存在を俺に知らせてくれたのは、捜査一課時代の上司だった栗本徹係長(仮名)だった。2023年7月初旬のことだ。 電話をかけてきた栗本係長は言った。 「文春読んだ?」 「いや、読んでいません。何ですか?」 「あの事件のことが載っている」 この時点では、俺はまだ「週刊文春」が事件を報じたことを知らない。すぐにYouTubeで雑誌の内容を配信している番組を見た。 「もしかして、リークしたのは栗本さんじゃないんですか?」 「違う。でも、何だか俺が疑われちゃっているみたいでさ」
リークしたのは自民党の幹部か管理官なのでは
警察内部でも、文春の記事は、すでにそれだけ話題になっていたという。 情報の出所はどこなのか。俺の見立てでは、後に岸田文雄政権で官房副長官を務めることになる自民党の木原誠二氏が、事件の参考人だったX子の夫であったことから、おそらく警視庁の管理官が自民党の幹部に説明した資料が漏れたのではないか、というものだった。政治家が絡んでいる案件では、上に「捜査を進めていい」という許可を取ることがあるからだ。 その際に“交換条件”として、捜査の報告が行われる。だから、リークしたのは自民党の幹部か管理官なのではないか……。実際、この事件では捜査の中止が告げられた後も、上司から「資料を見せて欲しい」といった要求があった。 「はっきり言う、これは殺人だ」木原誠二氏妻の元夫“怪死事件”に驚きの新事実が…“捜査一課・伝説の取調官”が週刊文春に実名告発した経緯 へ続く
佐藤 誠/週刊文春出版部