2026年にはトヨタの新車の2割が電気自動車になる?「化石燃料をガンガン燃やしてEVを作っている」世界の自動車市場の矛盾
髙橋洋一のファクトチェック 2024年版 #2
欧米諸国では主流になりつつあるEV車。だがエコノミストの髙橋洋一氏によると、そもそも本当に環境対策になっているか疑問だという。 【写真】世界的な成長を遂げている中国のEVメーカー 書籍『髙橋洋一のファクトチェック 2024年版』(WAC BUNKO)より一部を抜粋・再構成し、EV車が抱えている問題点を明らかにする。
修理もできないEV車は使い勝手が悪い!
──トヨタが2026年にヨーロッパの新車販売の2割を電気自動車にするという記事を読みました。EVは今後、自動車産業の主流になるのでしょうか。 欧州はいまやEV中心だから、トヨタもビジネスということではやむを得ないんでしょう。率直に言うと私もEVに興味があることはあるんですよ。ただ、現状だとEVは故障した時に修理ができないなというのが気になるんです。 はっきり言うとEVは巨大なスマホみたいなものだから、直すといっても、地元のディーラーにはできませんよ。部品を修理・交換というわけにはいかないでしょう。どこか調子が悪いと、すべて新しくしなければならない。全取っ換えですよ。そこがいつもちょっと気になっている。 だから、いくら補助金が出たって中国のEVを買うつもりはいまのところ、まったくないよ。だって国内のディーラーがきちんとしているならまだしも、中国製はそもそもすぐ壊れそうじゃない。そうしたら全損というか、新しいクルマに替えてくださいと言われるのがオチでしょう。 私はスマホを分解して直す時もあるくらいなんだけど、それでもここはちょっと難しいなというところはけっこう多いし、基板をやられていたら、まず無理。全取っ換えになっちゃうんだよね。さっき言ったように、私にとってはEVってスマホのようなものという認識だから、アフターサービスがきちんとしている日本製ならいざしらず、海外のものは冒険というか、やはり買う気にはならないですね。 にもかかわらず、どうしてEVに興味があるかというと、私の家は実はZEHという仕様でね、それはNet Zero Energy Houseの略で、つまり「エネルギー収支がゼロ以下の家」という意味です。屋上に太陽光パネルが並んでいて、太陽光発電で家の電力はほぼ賄える。これに断熱とか省エネとかをプラスしてね。 ところが、夜になるとこれがうまくいかなくて、蓄電池が必要になる。そこで実は、EVは蓄電池の代わりができるんですよ。というか、もともとEV車自体、蓄電池のようなものだからね。その意味でちょっと興味があるわけ。 でも、都心のZEHマンションには資産性があるとか言って宣伝しているけれど、集合住宅だと権利関係がけっこう大変だと思いますよ。私のウチは戸建てだから問題ないけれど、太陽光発電の電力の発電を各戸にどう配分するかという問題があるでしょう。 各戸に平等に配れればいいけれど、それなりに発電のコストがかかっているわけだからね。そもそもマンションってほとんどが高層建築でしょう。一戸建てなら屋根の上に太陽光パネルの広いスペースをとれるけれど、ビルのようになったら、体積に比べて屋根や屋上の面積は相対的に小さくなっちゃう。たぶん共用部分の電力しか賄えなくて、共益費が少し安くなるレベルじゃないかな。 戸建てならEVが蓄電池代わりに使えたとしても、ZEHマンションだとそうもいかない。それどころか、マンションの住人みんながEVのオーナーだったらどうするか。