鳥居みゆき、ファッションブランド立ち上げ “ゴミ”をテーマにしたワケ「芸人って本当は要らない仕事」
――約1週間、自身の生活ゴミを記録しようと思った理由は? 自分が出したゴミを見たら、自分というものが客観的に見えるんじゃないかと思ったんです。なので、りむさんに、ゴミを写真に撮って毎日送っていたんですけど、卵の殻とアイスのゴミ、たばこしかなかったんですよ。「うわ~これは偏ってる~」って思って自分の生活を改めようと。こういう人生だったんだなって俯瞰(ふかん)で見られたのも面白いなって思いました。
――そのゴミがデザインされた服のポイントは? 私のネタの『ヒットエンドラーン!』の時に持っていた初代くまちゃんもいるんです。初代くまちゃんなんて、他の人にとっては一番ゴミです。だけど着飾って成仏させるじゃないですけど、今までありがとうって。卵の中身とか薬とかは摂取しているから身についているけど、身につかなかったものを身につけてあげるにはどうしたらいいんだろう、ゴミに対する感謝の気持ちをどう表現したらいいんだろうって思っていたら、“服として身につければいいんじゃん!”って思ってこうしたんです。 あと、流しの(排水溝用の)ネットって毎日使うじゃないですか。あれを表現したくなって、どう豪華にしたらいいんだろうって思ったときに「フリルにしたらいいんだ」って思って、流しネットをイメージしたフリルをつけているのがこだわりです。 ――排水溝ネットは、捨てる前提で買うものですよね。 そういうものをただ捨てるのって心が苦しいんですよ。今回、ゴミを記録して自分が食べきる人間だってわかったんですけど、写真だけ撮ってタピオカを捨てちゃうみたいな出来事があったじゃないですか。そういうのもかわいそうでダメです。私はゴミが持っている怨念を昇華してあげたい。卵の殻も粉砕して植木鉢にバーってかけたりしています。
■実際に購入した人たちが感じた魅力
アイテムは全部で7種類。受注生産となっています。後日、東京・中野で行われた予約会には、実際に試着をするお客さんの姿がありました。購入を決めた40代の鳥居さんのファンは、「日々のゴミをモチーフにしてステキな洋服ができるんだっていうところにグッときました。自分が何を捨てているかって意識しないけど、洋服になることによって、自分がどんなゴミを出しているのかなって日々を振り返るきっかけになった」とコメント。 さらに、購入を決めた別の40代のお客さんは「ゴミに見えないかわいさだなって。そんな身近なものをプリントしてお洋服にしちゃうっていう発想は他にないし面白い。普通じゃない服を着たいと思っているので、そこにひかれました」と購入の決め手を明かしていました。
■今後『ToriM』で表現したいこと
――ブランドがデビューしたということで、今後はどのようなものを作っていきたいですか? 人が忌み嫌っている脳みその中のこびりついているヤニみたいな感じ。そういう感じを表現していきたいですね。よく天井にシミとかあるじゃないですか。そういうシミって、勝手に自分の判断で何かの形とか見えて怖がったりするじゃないですか。その自分の中で勝手に妄想して恐怖になっている部分。それを表現していきたい。それって捨てる部分じゃんとか、それって一番人が身につけたくない部分じゃんとか、そういうのをあからさまにしていきたいです。