手取りに雲泥の差…。勤続22年→勤続22年2ヵ月で変わる「退職金の手取り額」【FPが解説】
退職時にこだわるのは「退職日」「退職金」?
定年退職とは、会社員人生の大きな節目。有終の美を飾るなら「退職日」に注目しましょう。1日違うだけで、手取り収入が大きく変わるからです。 通常の所得と異なり、退職金は税金が非常に優遇されています。勤続20年目までは1年あたり40万円、 21年目以降は70万円の控除額が積み重なります。最終的に課税される所得は、控除後の金額の半分です。 ポイントは、勤続年数の数え方。「1年未満を切り上げる」ルールがあるのです。勤続22年なら退職所得控除額は940万円(40万円×20年+70年×2年) 。22年2ヵ月であれば1,010万円となります。ちょっとした違いで非課税枠が増えます。退職時期を自分で選べる方は慎重に選んでください。
退職金1,500万円の場合 勤続年数が1年切り上げられるだけで、手取りはこんなに変わります(【図3】退職金1,500万円の場合)。 退職金の受け取り方によって変わる手取り 退職金の受け取り方は、「年金」と「一時金」の2つがあります。年金と一時金の割合を決めて併用する「年金+一時金」を選べる会社も増えています。 退職金の手取り合計のシミュレーション 東京都在住、退職金2,000万円(38年勤続)。 60~64歳は継続雇用され年収300万円(協会けんぽへ加入)。 65~69歳は公的年金を年200万円受け取る。 退職年金は10年間で受け取る(予定利率1.5%)。 所得控除は基礎控除、社会保険料控除、所得金額調整控除のみ。 (【図4】退職金の手取り合計のシミュレーション) 〈Point〉 65歳以上も働きたい人は、65歳の誕生日の2日前までに退職して求職すれば、雇用保険(失業保険)から基本手当を最大150日間受給できます。逆に退職が65歳を超えると基本手当が高年齢求職者給付金に変わり、最大給付日数は50日と大幅に減少。 ただし、退職日を早めるように会社へ強く求めすぎて「自己都合による退職」にされてしまうと、失業保険の給付が不利になります。社内規定などを確認し、会社へ相談しましょう。 【Answer】退職金の金額も気になりつつ、手取りを増やすためにこだわるなら退職日! 立川 健悟 ファイナンシャルプランナー
立川 健悟
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