前田敦子、性被害を描いた主演作に「かわいそうな人だと見てほしくない」
アイドルは、人の心の中に入っていけるスゴイ職業
――先輩方からそんな風に。 前田:私としては、ただただ映画の世界に入りたい一心でいっぱい観ていただけなんです。ただ、アイドルの影響力のすごさについては、あとになって私自身も感じています。もとはといえば、自分がなりたかった職業ではなかったけれど、振り返ってみると、アイドルというのは、本当にすごい職業なんだなと。 アイドルってなんだろうって考えると、人の心の中に入っていけるものなのかなって。やっぱりキラキラしてるんですよね。自分が辞めたあと、オーディション番組とかを見ていると、感動します。頑張っている子たちを見て感情移入したり、それで好きになったり。アイドルってやっぱりすごいなって。やっているときはただ夢中でしたが、辞めたあとになって感じますね。
メラメラと、心の中の炎を育てている
――現在は、本当にやりたかったお芝居の世界にいます。突き進めていますか? 前田:やっていけばいくほど、悩みも出てきます。でもその分、やっぱり諦めたくない。悩んでいる自分を突破したいと思う。自分との葛藤ができる職業でもあるんです。そうやって一生懸命やったことが次の自信につながる。人には見えないかもしれないけれど、ひとりでメラメラみたいなものは年々持てている、心の中の炎はちゃんと育っていると思います。
『一月の声に歓びを刻め』は出演するか悩んだ
――映画『一月の声に歓びを刻め』が公開中です。『Red』などの三島有紀子監督が、幼いころの性被害体験をモチーフに、3人の主人公たちの物語を生み出しオリジナルの脚本で挑んだ人間ドラマです。前田さん演じるれいこは、監督自身がもっとも強く投影された役ですが、オファーを受けて即決とはいかなかったそうですね。 前田:三島監督とは数年前から「いつか一緒に映画をやろうね」とお話していました。その監督が自主映画で、自分の内側から出てきたお話を作るとのことでした。すぐに飛び込んでいきたかったのですが、今の自分に応えられるだろうかとすごく葛藤させてもらいました。やり遂げられなかったら一番失礼ですから。時間って限りがあるものなのに、監督は何も言わずにずっと待ってくれて、悩む時間をいただきました。そのことに、ご自身のすごくパーソナルなことの含まれる作品を私に託してくださっている思いも感じました。