カクテルとジャズライブを楽しむ…「シガー文化体験」も グランドハイアット東京
連載《hotel TIPS》Vol.9
編集長がホテルのおいしいものや楽しみを探しに行く「hotel TIPS」。今回は、心にしみる音楽とカクテルのマリアージュを味わおうと、グランド ハイアット 東京(東京・港)の「バー&ジャズラウンジ マデュロ」を訪れました。 【動画・写真はこちら】「マデュロ」の雰囲気がわかる1分動画 マネージャーは何を語る?
■ジャズライブとお酒を楽しむ 大人の社交場
マデュロとは「成熟した」「大人な」を意味する、英語のマチュアにあたるスペイン語。六本木に開業してから20年あまりがたち、歴史が染みついた重厚なレザーのソファやカウンターの色合いには、ビンテージの貫禄が漂います。毎日4~5ステージが開かれるジャズライブに音楽好きが集い、どの席でもシガー(葉巻)が楽しめる。まさに大人の社交場といったシックな雰囲気に満ちています。 「六本木という立地にある唯一無二の空間にふさわしく、お酒は希少なウイスキー、ワイン、クリエーティブなカクテルをそろえています」。そう話すのはマデュロ マネージャーの保子(ほし)潤太さん。初めて訪れたお客様にぜひ飲んでほしい1杯として、オリジナルカクテル「エンテス マデュロ」を作ってくれました。 ベースはテキーラ。マスカットのような華やかな香りとライムの爽快な酸味が溶け合い、ひと口含んだ印象は、風味豊かなシトラスジュースのよう。そこにテキーラの深い味わいとしっかりしたアルコールが効き、心地のよい酔いに誘われ、ふんわりとした、甘やかな残り香に包まれます。
■プレミアムなテキーラで作る「オールデイカクテル」
「ブラジルの定番カクテル『カイピリーニャ』をツイストして(ひねって)考案しました」と保子さん。カイピリーニャはサトウキビで作った蒸留酒を使いますが、保子さんはその代わりにテキーラを用いることにしたというのです。まずライムとカソナードというブラウンシュガーをシェーカーに入れて一緒に潰します。そこにテキーラとエルダーフラワーのリキュールを注いでシェーク。ライムを飾って完成です。 華やかな香りの正体は、このエルダーフラワーのリキュール。ヨーロッパで古くから薬効成分の高いハーブとして用いられてきた植物です。そして深い味わいの決め手となっているのが「クラセアスール・テキーラ」。原料となる植物ブルーアガベを丹念に加熱、粉砕、発酵、蒸留させたクラフツマンシップあふれるプレミアムテキーラで、バニラやスパイシーな香りが特徴です。テーブルの脚を逆さにしたようなボトルも個性的です。 テキーラベースのカクテルと聞くと、アルコール度数の高さゆえに敬遠する人がいるかもしれません。グイとあおって飲むイメージも強いのではないでしょうか。でも保子さんは「エンテス マデュロはテキーラベースでありながら、ブラウンシュガーのコクとライムのフレッシュさがマッチして、誰もが食前・食中・食後のいつでも楽しめる、オールデイカクテルなんです。もちろん葉巻との相性もぴったりです」と、この1杯が秘める懐の深さを説きます。素材選びのちょっとしたストーリーも、隠し味として楽しめそうな。 グラスを空けて、改めて「バー&ジャズラウンジ マデュロ」の店内を見渡すと、美しい装飾の数々が目に飛び込んできました。圧巻はステージの左右に立つ、縦長の美しいガラスのレリーフです。イメージしたのはスペインの教会とのこと。そこに照らされたライトの光が華やかな文様を浮かび上がらせて、ロマンチックなムードを高めます。ジャズの音色とシガーの芳香、そして蠱惑(こわく)的なカクテルの味覚に包まれて、都会の夜がゆっくりとふけていきます。 文:THE NIKKEI MAGAZINE 編集長 松本和佳 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。