丸十大屋がビーガン向けに商品化した動物由来素材不使用の「こんぶつゆ」

　しょうゆ・みそ醸造の丸十大屋（山形市、佐藤利右衛門社長）がビーガン（完全菜食主義者）向けに、動物由来の素材を使わずに作った麺つゆ「こんぶつゆ」を商品化した。ビーガン向け商品は初めてで、19日からフランスのパリで開かれる世界最大級の総合食品見本市に出展し、現地での反応を探る。 　通常使われるかつお節を使っていない。北海道産昆布と大分県産シイタケの植物性素材だけで合わせだしを取り、香り高い本醸造しょうゆと合わせ、広がりと厚みのある味に仕上げた。 　2倍希釈で塩分が低く、素材の味を生かす幅広い料理に使える。麺つゆや天つゆ、鍋つゆ、おでんつゆとして使えるほか、だし巻き卵に混ぜても良いという。 　健康意識や環境保護意識の高まりに伴い、全世界でビーガンは年々増加している。ベジタリアンも含めて菜食主義を実践している人は6億人超とする推計があり、ビーガン食品の市場規模は3兆円以上とされる。 　同社は2014年、しょうゆ製品では国内メーカーで初めて、イスラム教の戒律に従い加工された食品の証明「ハラル認証」を取得した。今回の「こんぶつゆ」はハラル製品を作る生産ラインで製造しており、ハラル製品として売ることもできる。ハラル生産ラインの有効活用という経営課題も解決した。

　ＥＵ（欧州連合）はかつお節を製造する際に発生する物質に規制基準を設けており、日本から現地に麺つゆを輸出している企業は極めて少ない。欧米でも麺類を食べる文化があるが、現地の麺つゆには甘さを感じ、物足りなさを覚える人が多いという。そのため、同社は「こんぶつゆ」が一定のニーズを得ると見通す。 　こんぶつゆは家庭用で、国内価格は300ミリリットル入り480円程度の見込み。佐藤社長は「見本市で商品を売り込み、フランスでもおいしいつゆを広めたい」と話す。