センターに残されたパピヨン 推定13~15歳のハイシニア 善意のリレーで起きた奇跡 保護から約11カ月後、安息の棲家へ
連日行き場を失ったワンコが収容される東京都動物愛護センター。 センターに収容される犬猫は、若い月齢から優先的に引き出される傾向があります。引き出されない犬猫はハイシニアだったり、重篤な持病を抱えていたり、咬傷犬だったりするのが通例で、最悪殺処分となります。 【写真】Kさんに連れられ散歩するマシューくん。ご機嫌の表情です 2023年8月、引き出しの名乗りがあがらず、行き場を失ったワンコがいました。オスのパピヨンで、名前はマシューくん。複数の保護団体が引き出しを見送った理由は月齢でした。推定13~15歳。パピヨンを含む小型犬の平均寿命がおおむね15歳ほどだとすれば、そう長くは生きられないかもしれません。
「うちでお世話します」と名乗り出たボランティアのKさん
マシューくんがセンターに収容されたのは2023年6月。飼い主の元でこの月齢まで過ごしていたのに、ある日突然センターに収容されることになった心情を思うと、いたたまれなくなります。マシューくんを知った団体、アイドッグ・レスキュー隊の代表は、なんとかして救い出すことはできないかと関係者に「看取る覚悟で預かれる人はいないでしょうか」と一斉メール。推定13~15歳がネックになるのは承知の上でした。 関係者からは前向きな返答はありませんでした。「残念だけど、私たちにできることは限られていたのかもしれないな」と肩を落とす代表でしたが、Kさんという預かりボランティアさんが「うちでお世話します」と決断しました。 「これで救うことができる」と涙を堪え、代表はその足でマシューくんを連れ帰ることにしました。
シャイながらも素直でかわいい性格
Kさんの家に迎え入れられたマシューくんはハイシニアとは思えぬほど元気。白内障はありますが他には重篤な持病はなく、明るい性格のワンコでした。当初は顔を触られることを嫌がりましたが、Kさんに信頼を寄せるようになると、むしろなでてほしそうな表情を浮かべるように。 自分から積極的に感情表現をするタイプではありませんが、Kさんや他のワンコが寝ていると、そばに来て体をするり寄せ一緒に眠る夜もありました。シャイではあるものの素直でかわいいマシューくんを救い出せたことを、Kさんは心の底から喜びました。