サーキット走行会の魅力とは? Dスポーツ&ダイハツチャレンジカップ参加者に聞いてみた
■ 初級者から上級者まで楽しめるサーキット走行会 2024年4月14日、静岡県駿東郡小山町にある富士スピードウェイ内ショートサーキット(コース長0.867km)にて、ダイハツ車用パーツブランドのD-SPORTが主催する「Dスポーツ&ダイハツチャレンジカップ(D-SPORT&DAIHATSU Challenge Cup)」が開催された。 【画像】「Dスポーツ&ダイハツチャレンジカップ」は上級者はもちろん、初心者にも楽しめる内容で、会場はアットホームで和気あいあいとした雰囲気に包まれている ダイハツ車ユーザーを対象としたDスポーツ&ダイハツチャレンジカップは、初級者から上級者までの幅広い層にサーキット走行を楽しんでもらうことを目的としたイベントで、このDスポーツ&ダイハツチャレンジカップに出たことをきっかけにクルマ趣味の幅を広げる人も多い。 そこで今回はDスポーツ&ダイハツチャレンジカップに興味を持つ人に向けて、イベントの内容ともに、参加者に聞いたDスポーツ&ダイハツチャレンジカップの魅力などを紹介していこう。 さて、Dスポーツ&ダイハツチャレンジカップだが、イベントの特徴はタイムスケジュールの後半に行なわれる「タイムアタック走行」を完走することで、JAFが発行する「国内Bライセンス」を取得する権利が得られるという点だ。 国内BライセンスとはJAF公認競技であるラリー、ジムカーナ、ダートトライアル、サーキットトライアル、ヒルクライム、ドラッグレース、ラリークロス、オートクロス、ドリフトといった競技に出るために必要な資格だが、Bラインセンスで出場できる競技には改造範囲が狭いものもあるため、いろいろなモータースポーツにチャレンジにしてみたい人にとっては取得しておきたいものである。 Dスポーツ&ダイハツチャレンジカップではダイハツ車およびOEM車がエントリーでき、クラスは以下の6つ設定される。 まずはコペン(L800、LA400)に乗るサーキット走行中級者、上級者(自己申告)を対象にした「コペンエキスパートクラス」がある。次にサーキット走行初心者のコペンオーナーを対象とした「コペンビギナークラス」。そしてダイハツのターボエンジンを搭載した軽自動車の「ターボクラス」、ダイハツのNAエンジンを搭載した軽自動車の「NAクラス」、ダイハツ車に乗る女性オーナーが対象の「レディースクラス」。そして最後は他のクラスの出場条件外のダイハツ車の「オープンクラス」だ。 ここからは当日の流れをザッと紹介しよう。サーキットイベントの朝は早く、8時ごろまでに受け付けがあり、その後、ヘルメットやグローブなどドライバーの装備品が用意されているか、クルマ側の整備状況は問題ないかなどをチェックする車検が行なわれる。 そして準備が終わったころに開会式とドライバーズミーティングがあるが、サーキット走行初心者が多いDスポーツ&ダイハツチャレンジカップでは、希望者を対象に全体のミーティングのあとにコース攻略法の講習も行なっている。 ■ 練習走行 クラスごとにコースインしての練習走行が開始。各クラスともに初回の走行ではコースレイアウトの確認やドライバーやクルマのウォーミングアップをやってもらう意味から、最初の3周はインストラクターがドライブするクルマによる先導走行が入る。その後にそれぞれのペースで走る練習走行がスタート。 練習走行は各クラスともに20分となっているが、富士スピードウェイ ショートサーキットは1周が40秒~50秒でまわれるので、20分もあるとクーリングラップを挟みながらもしっかりと走り込めるので、走行自体に慣れる地感が必要な初心者には特にメリットのある設定になっている。 練習走行は2回設定されていて、待機の時間は約1時間半あるため、待機の間にセットアップの変更を行なったり、他の参加者の走りを見るなど次の走行に向けての準備をしておくことも可能だ。 ■ サーキット走行会の魅力を参加者に聞いてみた Dスポーツ&ダイハツチャレンジカップはリピーターの多さも特徴の1つだが、今回は初めて参加した人を中心にサーキット走行会の魅力を聞いてみた。 コペンGRスポーツ/セキフライさん 現在26歳のセキフライさん。最初はAT限定免許を取得したのだが、クルマに興味を持ち始めたことから「やはりMTに乗りたい」と思い限定解除をしたとのこと。 コペンを選んだ理由はオープンカーに乗りたかったからということで、クルマ探しのときはホンダのS660も候補に上がっていた。しかし、コペンを販売店で見てスタイルが気に入り、さらに荷物も載せられる便利さもあったのでコペンを選んだという。なお、最初は予算の都合上、標準車を買うはずだったが、親からの援助が受けられたのでGRスポーツに手が届いたという。 サーキット走行は今回が初めてとのことだったが、走ってみると予想以上に楽しく、今後は積極的にサーキット走行をしていくという気持ちになったそうだ。 コペン/たぬちえさん 880コペンでコペンビギナークラスに参加していたたぬちえさん。E46M3に乗る旦那さんと来場していたが、今回の走行はたぬちえさんのみ。 ご夫婦ともにクルマ好きなのでコペンはドライブ用として購入した。そのため程度は重視したようで、実際、こちらのクルマはとてもきれいなコンディションだった。 カスタマイズはインテークパイプをトラブル予防の視点から金属製に換えている。そしてECUをDスポーツ製、マフラーはフジツボ製としている。 サスペンションはRG製の車高調整式を装着。ホイールはコペンでは珍しいチョイスのアドバン オニ2だがカラーを含めてとても似合っていた。 たぬちえさんは前のクルマからサーキットを走っていたので、ショートサーキットの走行経験はあるとのことだったが、軽くてパワフルなコペンでの走行は楽しかったとのこと。 コペンGRスポーツ/やっさん さん 関西から遠征の「やっさん」さん。以前はダートトライアルなどもやっていたという。 クルマはコペンのチューニングでは有名な兵庫県にある「も。ファク」でチューニング。エンジン内部は排気量は変えずに強化ピストン、コンロッドを組みタービンも大型化される。 普段は関西のサーキットを走っていて富士スピードウェイのショートサーキットは初走行。印象を聞いてみるとなかなか難しいとのこと。ステアリングを切りすぎず、ライン取りを考えておかないとタイムが出ないという。 しかし、サーキット走行に慣れているだけに、初めてのコースにも早く対応し、タイムアタックでは2位となった。 MM2000さん/コペンローブ 以前はマーチの12SRというスポーツモデルに乗っていたとのこと。コンパクトで走りのいいクルマが好みとのことで選んだのがコペンだった。見た目はGRスポーツだが実はフロントまわりを交換した仕様でベースはローブ。これはGRスポーツに乗りたかったという理由ではなく、前まわりを替えた理由は大型のインタークーラーを収めるためで機能面からの選択だそう。 エクステリアではリアウイングも目立っているが、これもこだわりの逸品。メーカーに依頼してコペンの車幅にピッタリ合うサイズで製作してもらったという。 さらにホイールもこだわりで選んだレイズのZE40タイムアタックという限定版だが、このモデルはいわゆるチューナーサイズの設定、そのためノーマル車高でははみ出してしまうので、ホイールを履くためにサスキットも装着したということだ。 コペンローブ/ぽールさん Dスポーツ&ダイハツチャレンジカップ常連のぽールさん。サーキット走行は10年以上前からやっていて、そのときは1つ前の型の880コペンだったという。その後、マツダのデミオに乗り換えてサーキットを走っていたが、やはり「コペンがいい」とのことで現在の400コペンに乗り換えたとのこと。 軽自動車→普通車→軽自動車と乗り換えて感じたのが、コペンは走りが楽しいというだけでなくランニングコストが安いこと。コンパクトカーもランニングコストは低めだが、その3分の1ほどになったとのことだった。 880コペンと400コペンを乗り比べた感想はというと400コペンになって剛性感が軽自動車というより普通車並みになっているので走りがより楽しめるそうだ。 ハイゼット ジャンボ/艦長さん Dスポーツ&ダイハツチャレンジカップはダイハツの軽自動車が参加できるサーキット走行イベントだ。そしてダイハツといえば生活密着のクルマが主体。ということである意味「ダイハツらしいエントリー車」だ。 金属加工の会社を経営されているという艦長さんのハイゼット ジャンボは普段仕事で使用しているクルマとのこと。仕事で積むのは金属金型という非常に重いものなので、その対応としてリアのショックはなんとジープのラングラー用を流用していた。 サーキット走行は初めてということだがDスポーツ&ダイハツチャレンジカップはコースが混みあわないので楽しく走れたという。 コペン1300/なかむ~さん 880コペンが発売されてすぐに購入し、その後乗り続けているという1台。1度はエンジンチューニングも計画したが、そのタイミングで知ったのがダイハツが発売していた「YRV」というクルマのエンジンを移植するチューニングだった。そこでエンジン換装を選択し、公認車検も取り、白ナンバーの1.3リッターターボコペンに生まれ変わった。 エンジン本体はノーマルだが、ターボチャージャーを交換してパワーを約260PSまで強化。スロットルなどもワンオフ製作し、かなりチューニングレベルの高いクルマ。トルクがあるのでサーキット走行でも普通に走るときでも特に乗りにくさはないという。 パワーに合わせてミッションはダイハツ ストーリアX4のLSD入りクロスミッションを搭載。また、見えない部分だがクルマの下面はアンダーパネルで覆ってあるという。そこまで手を入れていても外観はノーマルっぽくしているところがカッコいい。 ■ タイムアタック&表彰式 昼休み後はDスポーツ&ダイハツチャレンジカップの本番ともいえるタイムアタックが始まる。 以前は1台ずつのコースインの1本勝負で行なわれていたが、これだと実力が発揮できないドライバーもいるので、現在はクラスごと全車同時のコースインによるルーレット式の計測となった。思い思いのタイミングでアタックできるので参加者には好評だった。 1発勝負ではないので過度な緊張をすることはないが、同時コースインでは多くの走行車両がいる。そのため走りやすいラップを見つける必要はあるが、反面、速いクルマについていくことでタイムを上げるというテクニックも使える。なお、タイムは1/1000秒台まで計測されて順位が決まるので、どのタイミングでアタックをするかを考えながら走るのも楽しいはずだ。 走行が終わると閉会式と表彰式が行なわれる。表彰式はクラスごとに行なわれ、参加台数に応じて入賞人数が決まり、トロフィーと副賞が贈られる。 ■ サーキットは新製品の開発現場にもなっている
Car Watch,深田昌之