87歳の巨匠リドリー・スコットの到達点にして、新たな出発点『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』
今ではお騒がせ俳優としても知られていたりもするラッセル・クロウの名を一躍有名にし、2000年代映画を代表する作品のひとつとして今も語り継がれる『グラディエーター』(2000)。米アカデミー賞などの映画賞で多くの称号を得たことは言うまでもない。現在、24年ぶりとなる続編の『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が公開されている。 【写真】圧倒的スペクタクル『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』場面写真【4点】 『グラディエーター』は、公開後すぐに続編企画が浮上した作品であり、2000年代のリメイク&続編ブームの際には、常に期待の続編として扱われてきた。だが、残念ながら、企画が実現することは無かった。 ちなみに、もともとの脚本では、マキシマス(ラッセル・クロウ)が転生し、様々な時代の変化を体験するという奇抜なものだったらしい。それはそれで観てみたいとは思うのだが、「実はこういう脚本だった~」というのは、実現されなかったからこそ言えるジョークのような部分もあって、全ては信用できない。 そんな脚本が本当にあったのか、無かったのかは謎ではあるが、20年以上の企画段階を経て実現したというだけで、大きなオーラを放っている作品であることは間違いないし、中途半端に映画化されるよりは、今の時代だからこそ良かったともいえるかもしれい。 前作と同じく監督を務めたリドリー・スコットは、今年で87歳というのに、その腕は全く衰えておらず、2023年には『ナポレオン』、2021年には『最後の決闘裁判』『ハウス・オブ・グッチ』と、短いスパンでスケールの大きい作品を次々と撮っている。その仕事術は、まさに巨匠。 そんなリドリーが、長年あった企画をついに実現させたというのは、ひとつの到達点でもある。しかしそれは、引退やペースを落として落ち着くという意味ではなく、新境地にして新たな出発点ともいえるものとなっている。すでに多くの企画が待機中で、次回作は今作の主演ポール・メスカルと再タッグ作『The Dog Stars』となる予定。まだまだリドリーは映画に命を捧げていくつもりなのだろう。