「ミニ新幹線」あなどってはいけない! フル規格を上回る座席も 歴代車の乗り心地を徹底解説
普通席なら現行車両よりもイイ?
■E3系0番台・1000番台 1995(平成7)年に試作車が登場した、秋田新幹線用のミニ新幹線です。自由席が座席間隔910mm、指定席が980mmという点は400系と同じですが、リクライニング角度に差はありませんでした。座席幅は445mmです。 2002(平成14)年に登場したR18編成より、普通車の座席が在来線特急のE257系普通席に類似したものとなり、座面スライド機能やドリンクホルダー、フットレストが装備されました。 グリーン車は2+2列となり、座席幅460mmで、同時期のE2系(473mm)よりも狭くなりました。ただし枕が装備され、400系よりもその部分のグレードが上がっています。座面はスペースこそやや狭いものの柔らかめでした。 1000番台は1999(平成11)年、山形新幹線の新庄駅延伸時に製造された車両で、前頭部や塗装などが0番台と異なります。座席は同時期の0番台と同じなので省略します。 ■E3系2000番台 2007(平成19)年、400系置き換え用に製造されました。普通車全席が座席間隔980mmとなり、窓側の座席と車端部にコンセントを設置。枕はありませんが、現行のE6とE8系には座面スライドとフットレストがないので、コンセントのある窓側が、最もグレードが高いミニ新幹線普通席ともいえます。2000番台は、鉄道車両として初めて空気清浄機が搭載されました。 グリーン車の座席幅は465mmと、0番台よりやや広くなっています。フットレストがレッグレストに置き換わったほか枕も備わり、肘掛けにコンセントもあります。座面が固めですが、レッグレストの角度もよいので、座り心地はなかなか。ただ、窓側座席では窓枠と肘掛けがやや干渉します。
2つの新幹線観光列車
■E3系700番台「とれいゆつばさ」 新幹線初の観光列車として、2014(平成26)年にE3系0番台を改造して登場した観光列車です。最大の特徴は「新幹線内の足湯」で、景色を見ながら足湯を楽しめました。 座席は1+2列の向かい合わせ座席と、元グリーン車の2+2列座席。1+2列は座席間隔が広く、横方向のゆとりはありましたが、座面が畳でその上に座布団を敷くためクッション性はやや難あり。背もたれ形状は背骨と合わず肘掛けもないため、座り心地はそこそこでした。2+2列は元グリーン車なので、普通車指定席と考えるなら「当たり」。2022年に引退しています。 ■E3系700番台「現美新幹線」 2016(平成28)年に上越新幹線に登場した「走る現代美術館」がコンセプト、車両の大半がギャラリーペースというユニークな車両でした。 座席は1両のみ元グリーン車の普通車指定席で、あとはギャラリースペースのソファーです。ソファーはやや固めの座り心地でした。ビュッフェの座席は座面のみクッションがある椅子で、お洒落な喫茶店にあるようなものでした。2020年に引退しています。 ■E6系 東北新幹線の最高速度320km/h化に対応し、2010(平成22)年に試作車が登場した、秋田新幹線用の車両です。普通車の座席間隔は全て980mm。座席の色は秋田の稲穂を、通路は田んぼのあぜ道をイメージしています。窓際と車端部にコンセントがあります。 座席は、枕の設置により快適性が増しています。フットレストや座面スライドはなくなりましたが、リクライニングと連動し、わずかに座面が動きます。座面形状は悪くありません。 グリーン車は座席間隔1160mm。沿線の角館の武家屋敷をイメージし、枕は秋田の伝統工芸「楢岡焼き」の釉薬「海鼠釉」の青色です。全席にコンセントが設置されています。一部が革張りとなり、肘掛けも幅は狭いですが、木製であるなど高級感のある素材が使われています。座面形状はなかなかです。ただ、レッグレストに座面との段差があり、足の重量が分散しておらず、長さも不足しているように感じます。