凍える指先、不潔な絨毯、悪臭のするトイレの中には…イラン女性が告白するヤバすぎる「独房の実態」
一睡もできず震えながら朝を待つ
この部屋を通り過ぎて、大部屋に連れて行かれました。3段ベッドが10列ほど並んでいたでしょうか、どのベッドも埋まっていて、たくさんの人が床で寝ていました。私は絶食していましたし、とにかく疲れていて寒かったです。誰も私に毛布などをくれるつもりはなさそうでした。どこで眠れるのか、どうしたら良いのか、誰も教えてくれません。 私は入り口に立って震えていました。ベッドから私に好奇の目を向けてくる人もいましたが、私は突っ立ったまま、どうしようかと考えていました。 床に、ひどく汚れた毛布を被って寝ている女性がいました。私は音をたてないように横に座りました。足が寒さでかじかんでいたので、その女性の毛布の下にそっと爪先を潜り込ませました。女性はそれに気づくと、毛布をさっとどけました。結局、私はその夜一睡もしないで、震えながら朝が来るのを待っていました。 私が呼ばれたのはかなり早朝だったと思います。また同じ2人の当局の人間が来ました。ふたりと一緒に警察署に行き、彼らはそこで武器を装着しました。警察署から出て車に乗るときに目隠しされたので、走っていた時間が長く感じられました。 結局私は以前と同じ房に入れられ、そこからすぐに尋問に連れて行かれました。私を尋問に連れ出すのはいつも同じ年配の男性でした。尋問は夜まで続き、その夜のうちに一般房の隔離棟に移送されました。移動時間がとても長かったので、ひどくお腹が空きましたが、何も食べさせてもらえませんでした。
トイレの中には…
――「サグドゥニ」というのは、どこにありますか?どんな場所でしたか? ヴァキラバド刑務所の中です。刑務所内のトイレとシャワー室の下のほうに、とても小さな格子柄のガラスがはめ込まれたドアがあります。そのドアを開けると狭い廊下に繋がっていて、独房が2~3室並んでいます。私はその1室に連れて行かれました。 非常に狭く、不衛生で、異臭がしていました。自然光は入ってこず、隅には覆いのないイラン式トイレがあって、中で甲虫が動いていたり、死骸で転がったりしていました。部屋の天井は低く、隅のほうが崩れていました。看守が鎖の鍵を外して私を中に入れようとしたとき、所内の従業員なのか、女の子たちが走ってきて看守の後ろから言いました。 「囚人さん、何か必要なものはありますか?」 2人の女の子が私の隣の部屋から黒い絨毯を引っ張ってきてくれました。誰かが絨毯の上に古い雑誌を放り投げました。女の子たちは2枚の汚い毛布と、煮沸した水のペットボトル、お茶の粉末をくれました。それに角砂糖を私の手に握らせたのです。 私は唖然としてしまって、反応できませんでした。一体何日ここにいることになるのだろう、生きて出られるのだろうか、と考えました。 とにかく空腹で疲れ切っていました。空気が足りなくて吸えないような感じです。トイレの悪臭、尋問による疲労と不安、どこに連れて行かれるのか分からない長い移動、そういったものすべてに、心と体を押しつぶされそうでした。